COVID-19関連追加(2020422日)

 

【最近のヒドロキシクロロキンの論文】

1Magagnoli J, et al. Outcomes of hydroxychloroquine usage in United States veterans hospitalized with Covid-19. medRxiv 2020.

https://doi.org/10.1101/2020.04.16.20065920.

本日CNNで紹介されていたコロンビア,サウスカロライナからの報告.202039日から411日までのCOVID-19患者368例のデータを回収し後ろ向きに解析した.いずれも男性,大多数は黒人.ヒドロキシクロロキン投与群(HC97例),ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン投与群(HC+AZ113例),ヒドロキシクロロキン非投与群(no HC158例)で背景因子はほぼ同様であった.プライマリーアウトカムとして全死亡と人工呼吸リスクを設定した.

no HC群と比較して,HC群は死亡リスクがより高かった(調整下ハザード比2.61; 95% CI 1.10, 6.17; p= 0.03HC+AZ群はより高くなかった(調整下ハザード比1.14; 95% CI 0.56, 2.32; p= 0.72).no HC群と比較して,人工呼吸リスクについてはHC群(調整下ハザード比1.43; 95% CI 0.53, 3.79; p= 0.48),HC+AZ群(調整下ハザード比0.43; 95% CI 0.16, 1.12; p= 0.09)であり有意差を認めなかった.セカンダリーアウトカムとして人工呼吸後の死亡についても検討したが,no HC群と比較して,HC群(調整下ハザード比4.08; 95% CI 0.77, 21.70; p= 0.10),HC+AZ群(調整下ハザード比1.20; 95% CI 0.25, 5.77; p= 0.82)であり有意差を認めなかった.

なおこの論文によるとヒドロキシクロロキンの親化合物であるクロロキンのRCTは心臓毒性,高い致死率にて中止となったようだ1)

Limitationとしては,後ろ向きのデータ解析であること,全例男性でありmedian65歳以上,大多数は黒人であるなどセレクションバイアスがあることが挙げられる.ヒドロキシクロロキンのRCTが真実を明らかにするだろう.

1) Borba M, et al. Chloroquine diphosphate in two different dosages as adjunctive therapy of hospitalized patients with severe respiratory syndrome in the context of coronavirus (SARS-CoV-2) infection: Preliminary safety results of a randomized, double-blinded, phaseUb clinical trial (CloroCovid-19 Study). medRxiv 2020: 2020.04.07.20056424.

 

2Tang W, et al. Hydroxychloroquine in patients with COVID-19: an open-label, randomized, controlled trial. medRxiv 2020.

https://doi.org/10.1101/2020.04.10.20060558.

今回の論文の中ではまだ希望が持てる論文.

<方法>対象は150例のCOVID-19入院患者で,ヒドロキシクロロキン(HCQ)群75例とコントロール群75例のopen-label RCTHCQ群(48.0±14.1歳)は軽症15例(20.0%),中等症59例(78.7%),重症1例(1.3%),コントロール群(44.1±15.0歳)は軽症7例(9.3%),中等症67例(89.3%),重症1例(1.3%)であった.

HCQ1200mg/日を3日間ローディングし,以後は800mg/日を23週間投与した.

プライマリーエンドポイントは28日間でのPCR陰性化率とした.セカンダリーエンドポイントはday471014あるいは21におけるPCR陰性化率,28日以内の臨床症状改善率,28日以内のCRP正常化およびリンパ球数正常化とした.

<結果>28日間でのPCR正常化率はHCQ群,コントロール群で有意差なし(Kaplan-Meier estimates 85.4% vs 81.3%, p= 0.341day471014あるいは21におけるPCR陰性化率,28日以内の臨床症状改善率は有意差なし.しかし,その他の抗ウイルス効果のある薬物(lopinavir-ritonavir, arbidol, oseltamivir, virazole, entecavir, ganciclovir and/or interferon-alpha)の交絡因子を除外したあとの事後解析ではあるが,HCQ群は試験開始後2週間目に臨床症状の改善が有意に見られた(HR 8.83, 95% CI 1.09, 71.3.またコントロール群に比べて,ベースラインからのCRP低下はHCQ群でより大きかった(absolute change, 2.723 vs 6.986 mg/l, p= 0.045.コントロール群に比べて,ベースラインからのリンパ球上昇もHCQ群でより大きい傾向にあった(0.008 vs 0.062 x109/titer, p= 0.547.これらはHCQ投与day5より認められHCQを中止するまで持続した.副作用はHCQ群に多く見られ(21例,30%)(コントロール群は7例,8.8%),下痢多かった(10% vs 0%, p= 0.004).QT延長は見られなかった.

DiscussionHCQ投与は発症後median 16日であり,もっと早い投与ならば有効性が示せた可能性がある.CRP低下はHCQの抗炎症作用と考えられ,早めの投与が進行を抑制し予後に寄与する可能性がある.PCR陰性化をエンドポイントに設定したが,ウイルス排出量に設定すればより詳細な検討ができたかもしれない.

 

3Chorin E, et al. The QT Interval in Patients with SARS-CoV-2 Infection Treated with Hydroxychloroquine/Azithromycin. medRxiv 2020.

https://doi.org/10.1101/2020.04.02.20047050.

この論文ではヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの用量は不明.+40msを超える延長が認められた30%の患者では投与day34で最長のQTc延長が認められた500msを超えるQTc延長の11%は不整脈のリスク群であった.ベースラインのQTcだけでなく急性腎不全は重篤なQTc延長の予測因子だった.

 

4Garcia-Cremades M, et al. Optimizing hydroxychloroquine dosing for patients with COVID-19: An Integrative modelling approach for effective drug repurposing. Clinical Pharmacology Therapeutics 2020 April 14. doi: 10.1002/CPT.1856.

今まで報告されてきたEC 50in vitro)を考慮し,患者の推定EC50=4.7μMとする.400mg/日以下の用量に比べて,400mg x2/を超えるヒドロキシクロロキンを5日間ないしは7日間以上の内服は急速にウイルス量を減少させ,SARS-CoV-2を検出する患者比率を減少させた600mg x2/日を超える用量ではQT延長を認めたベースラインのQTc 420msec以下の患者は高用量ヒドロキシクロロキン400mg x2/日,5日間あるいは7日間以上を最小限のQT延長リスク(1.0, 2.0%)で投与できた.用量は800mg/日ローディングであれ400mg x2/日であれ,安全性は許容できウイルス検出期間を短縮させる.800mg x2/日まで用量を増やすとより早いウイルス量減少が認められるが,安全性の観点からリスクが高い.一方で我々はアジスロマイシンの併用による有益性は見出すことができなかった.

 

 

 

COVID-19関連追加(2020422日)に429日追記しました

 

SARS-CoV-2入院患者に対する高用量vs低用量クロロキンの有効性の

ランダム化比較試験】

Borba MGS, et al. Effect of High vs Low Doses of Chloroquine Diphosphate as Adjunctive Therapy for Patients Hospitalized With Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infection. A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open 2020; 3(4): e208857. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.8857.

Trial Registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04323527.

Importance

現時点ではCOVID-19に有効な抗ウイルス治療は存在しない.In vitroの検討では高用量クロロキン(CQ: chloroquine diphosphate)の抗ウイルス効果が認められている.

Objective

重症COVID-19患者に対する低用量および高用量CQの安全性と有効性を評価する.

Design, Setting, and Participants

この二重盲検ランダム化比較第U相試験(phase Ubは,2020323日から45日までブラジル,アマゾナス州マナウスの第3病院(tertiary care facility)に入院したCOVID-19成人患者81例を対象とした.

選択基準は,18歳以上で呼吸回数25 rpm以上and/or頻脈126 bpm and/or SpO2 90%未満 and/or ショックの患者とした.

Interventions

対象を高用量CQ群(600mg x2/日を10日間)低用量CQ群(450mg x2/日を1日,その後450mg x1/日を4日間)に割り付けた.

Main Outcomes and Measures

28日までの高用量群の致死率は低用量群の半分だろうという仮説を立て,プライマリアウトカムは低用量群に比べて高用量群で28日目までの少なくとも50%の致死率の減少に設定した.セカンダリアウトカムは13日目の致死率,13日目と28日目のクリニカルステイタス・血液検査所見・心電図所見,毎日のクリニカルスタイタス,人工呼吸器装着・酸素投与期間,治療から亡くなるまでの期間に設定した.呼吸器検体におけるウイルスRNA検査は0日目,4日目に行った.QIAamp Viral RNA Mini Kit (Qiagen)を用いて,2鼻咽頭サンプルあるいは1後咽頭サンプルからウイルスRNAを抽出,ウイルスターゲット(N1 and N2)がCT40.00未満を陽性とした.

 

 

 

 

 

Results

 

81例(高用量群41 [50.6%],低用量群40 [49.4%])を登録した.年齢はmean 51.1±13.9歳,60 [75.3%]は男性だった.高齢の患者(54.7±13.7 vs 47.4±13.3歳),心臓疾患(5/28 [17.9%] vs 0例)が高用量群に含まれていた

全ての患者にはアジスロマイシン(500mg x1/日,5日間)が投与されていたオセルタミビル(75mg x2/日,5日間)は高用量群37/40 [92.5%],低用量群33/38 [86.8%]に投与されていた

 

 

500msを超えたQTc intervalは高用量群では7/37 [18.9%]に認められ,一方低用量群では4/36 [11.1%]に認められた.高用量群2/37 [2.7%]に亡くなる前に心室頻拍が認められた(torsade de pointesはなし).

 

 

A, The gray band represents the upper and lower limits of the confidence interval for lethality in hospitalized patients not receiving CQ obtained by Zhou et al1) and Chen et al2) (ie, 167 of 990 patients [16.9%]; 95% CI, 14.5%-19.2%). B, The gray band represents the upper and lower limits of the confidence interval for lethality in critically ill patients not receiving CQ in the study by Grasselli et al3) (ie, 405 of 1581 [25.6%]; 95% CI, 23.5%-27.8%).

全致死率は27.2%95% CI, 17.9%-38.2%)であった.これはCQを投与されていない患者を含む2つの主要論文1) 2)のメタアナライシスの95% CIに重複する(95% CI, 14.5%-19.2%).これらの論文のデータと比較した群ごとの生存を示す(Figure 2A).高用量群の致死率は39.0%16/41例),低用量群は15.0%6/40例)であった生存分析は両群とも過去のデータに類似しており,高用量群により多くの死亡が認められたものの(log-rank, -2.183; p= 0.03),両群で明らかな違いは認めなかった.慢性心臓疾患をもつ5例(6.2%)を除外した生存分析でも同様の結果であった(log-rank, -2.188; p= 0.03).

高用量群は致死率と関連があった(odds ratio, 3.6; 95% CI, 1.2-10.6.少数例での試験,探索的多変量解析にも関わらず,年齢で調節した解析ではもはや高用量群は死亡と関連を認めなかった(odds ratio, 2.8; 95% CI, 0.9-8.5).慢性心疾患をもつ5例のうち3例(60.0%)は死亡した(Table 3).心室頻拍もtosade de pointesは認めなかった.QTc延長を認めた初日と死亡日の関連は認めなかった.また総用量は死亡例においてより多い傾向もなかった.19/22例(86.4%)は生前にSARS-CoV-2のウイルス学的確定診断がなされていた.CQ高用量群は試験を始める前の我々の仮説と反対の結果を示したため,データ安全性モニタリング委員会(DSMB)はすべての年齢において高用量投与を中止するよう推奨し.すべての患者は低用量投与に変更されたサブクループ分析をFigure 2Bに示すが,両群において致死率の差は認めなかった

 

 

ウイルスRNAは低用量群では31/40 [77.5%],高用量群では31/41 [75.6%]に認められた.4日目までの呼吸器検体におけるRNA陰性化はわずか6/27 [22.2%]であった

Discussion

毒性が有益性を上回ったため,高用量CQ投与は中止となった

すでにすべての患者はアジスロマイシンを投与されていたため,CQ単独の毒性の評価はできていない.

プラセボ群がないため,我々はCQ投与を受けていない同様の患者を元にした過去のデータを用いた.致死率は決して低くなかったが,我々はまだCQは有効性がないと結論できない.現在走っているいくつかの試験が情報を与えてくれるだろう.

我々は試験を完遂するために低用量群の患者の観察を続けるだろう.注意深い観察と有害事象の観察が必要だが,低用量投与の安全性が確立すれば重症COVID-19に対してコンパッショネートユースの根拠が得られるだろう.

この試験では,たとえアジスロマイシンを併用しても4日目におけるCQのウイルスクリアランスに有効性を示せなかった.

1例は横紋筋融解症で投薬中止,2例はCKMBの上昇から心筋炎が疑われたが,SARS-CoV-2関連心筋炎と推測された.このような例ではQTc延長は重篤な不整脈を起こしうる.また不幸なことに(少数例の検討のため),高用量群にはより高齢の患者が登録されてしまった.それ故,高用量群における致死率の高さにはバイアスがかかる.

この試験における致死率は,イタリアの報告3)CQ投与を受けていないより大規模なデータと比較して高かった.医療体制の違いが影響しているかもしれないが,CQの有害事象が関与している可能性もある.

 

Strengths and Limitations

Strengthsとしては,二重盲検試験であること,豊富な症例のある公的病院で行われたこと,データ安全性モニタリング委員会(DSMB)にチェックを受けていること,重症COVID-19患者に対して投与された2つの用量のCQのはじめての評価試験であること,である.一方Limitationsとしては,症例数が少ないこと,単施設研究であること,プラセボ群を設定していないこと,そしてベースラインにおけるQTc intervalに基づいた除外基準を設けなかったこと,である.

Conclusions and Relevance

10日間で投与された高用量CQ12g)とアジスロマイシン,オセルタミビルの併用療法はこの群の試験を継続する安全性の保障は不十分であった.年齢は重要な交絡因子であり好ましくないアウトカムに影響を与えたかもしれない.我々は重症COVID-19治療において,もはやこの用量の治療は推奨しない.そして特に心毒性のある薬を投与されている心臓疾患が背景にある高齢患者の治療においては規定を設けるべきである我々の患者においては致死率を関してはCQの明らかな有益性は認められなかった.これらの見解は非重症COVID-19患者に当てはめることはできない.

CQHCQ(ヒドロキシクロロキン)の役割の理解を深めるために以下を推奨する.1)予防薬としての役割を評価するためのRCT,2)軽症〜中等症患者の増悪に対する効果を評価するためのRCT

 1) Zhou F, et al. Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study. Lancet 2020; 395(10229): 1054-1062. doi: 10.1016/s0140-6736(20)30566-3.

2) Chen T, et al. Clinical characteristics of 113 deceased patients with coronavirus disease 2019: retrospective study. BMJ 2020; 368: m1091. doi: 10.1136/bmj.m1091.

3) Grasselli G, et al. Baseline characteristics and outcomes of 1591 patients infected with SARS-CoV-2 admitted to ICUs of the Lombardy region, Italy. JAMA 2020. Published April 6, 2020. doi: 10.1001/jama.2020.5394.

 

私見:以前に有効性が示唆されていたものの,少なくとも高用量クロロキン+アジスロマイシンあるいはオセルタミビル投与はリスクが高いことがわかったので投与は推奨されない

 

 

 

COVID-19関連追加(2020422日)に59日追記しました

 

【観察研究:ヒドロキシクロロキンは気管内挿管あるいは死亡リスクを減少させない】

Geleris J, et al. Observational Study of Hydroxychloroquine in Hospitalized Patients with Covid-19. N Engl J Med. Published on May 7, 2020.

doi: 10.1056/NEJMoa2012410.

Background

ヒドロキシクロロキン(HCQ)は強固なエビデンスはないがCOVID-19の治療に広く用いられている.

Objective, Methods

ニューヨーク市の大規模メディカルセンターにおけるHCQ使用と気管内挿管あるいは死亡の関連性について調査した.救急部へ来院した24時間以内の気管内挿管,死亡,退院に該当しないCOVID-19患者1376例を対象とし,プライマリアウトカムは気管内挿管あるいは死亡の複合エンドポイントとした.逆確率重み付け傾向スコアによる多変量コックスモデルを用いて,HCQ投与されている患者とされていない患者を比較した.

Results

連続症例1446例のうち,24時間以内に気管内挿管,死亡,退院した70例を除外し,1376例を対象とした,観察期間はmedian 22.5日,811例(58.9%)はHCQを投与された1日目は600mg x2/日,以後400mg/日をmedian 5日間).患者の45.8%24時間以内,85.9%48時間以内に治療が開始されたHCQ投与群は非投与群に比べて重症例が多かった(P/F: median 223 vs 360.結果的に,346例(25.1%)がプライマリアウトカムに達した(気管内挿管180例,うち最終的に死亡は66例,気管内挿管せずに死亡は166例).主要解析において,HCQ治療は気管内挿管あるいは死亡と関連を認めなかった(ハザード比, 1.04, 95% CI, 0.82-1.32.感度分析(sensitivity analysis)の結果も同様であった.

 

Conclusion

COVID-19入院患者を対象にした観察研究では,HCQは気管内挿管あるいは死亡の複合エンドポイントにおけるリスクの減少あるいは増加とも関連を認めなかった.観察研究であり,また信頼区間が相対的に大きいことから,この研究によってHCQが有益であるか有害であるか結論することができない.しかし我々はRCTによるHCQ治療の有益性が確認されるまで,現時点ではHCQ治療を支持しない.この研究はNational Institutes of Healthによる協賛を受けた.

 

 

 

COVID-19関連追加(2020422日)に83日追記しました

 

【軽症・中等症Covid-19に対するヒドロキシクロロキン±アジスロマイシンの

無作為化非盲検比較試験】

Cavalcanti AB, et al. Hydroxychloroquine with or without Azithromycin in Mild-to-Moderate Covid-19. N Engl J Med. July 23, 2020. Doi: 10.1056/NEJMoa2019014.

(Funded by the Coalition Covid-19 Brazil and EMS Pharma; ClinicalTrials.gov number, NCT04322123. )

BACKGROUND

ヒドロキシクロロキンおよびアジスロマイシンはCovid-19患者の治療に使われてきた.しかし,これらの治療法の安全性および有効性に関するエビデンスは限られている.

METHODS

Covid-19 疑いあるいは確定入院患者を対象に,酸素投与なし,あるいは最大4L/min酸素投与を受けている患者を対象とした多施設共同無作為化非盲検3群比較試験を実施した.患者を1:1:1で無作為に割り付けし,標準治療標準治療+ヒドロキシクロロキン400mg12回投与標準治療+ヒドロキシクロロキン400mg12回投与+アジスロマイシン500mg11回,7日間で比較した.主要アウトカムは,修正治療企図集団(modified intension-to-treat population)(Covid-19確定患者)における15日目の臨床状態7段階順序尺度(17レベルで,レベルが高いほど状態が悪化していることを示す)を用いて評価した.また安全性も評価した.

RESULTS

無作為割り付けをした合計667人の患者が対象であり,Covid-19確定患者504人に対して修正治療企図分析を行った

主要アウトカム(15日目の7段階順序尺度)は,正確に15日目に入院していた全患者と,可能な限り15日目に近い時期に来院した外来患者(電話インタビューによる)を対象として評価した.Covid-19患者のうち,15日目に7段階順序尺度でより高い(より悪い)スコアを有することにおける比例オッズには,有意な群間差はなかった(ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン vs 対照: オッズ比, 0.99; 95% CI, 0.57-1.73; p= 1.00; ヒドロキシクロロキン単独vs 対照: オッズ比, 1.21; 95% CI, 0.69-2.11; p= 1.00; ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン vs ヒドロキシクロロキン単独: オッズ比, 0.82; 95% CI, 0.47-1.43; p= 1.00)(Table 215日目における7段階順序尺度での患者スコアの分布をFigure 1に示す.

主要アウトカムの順序尺度段階における患者の経時的分布をFigure 2に示す.外来患者の活動制限に関するデータが毎日入手できなかったため,7段階順序尺度のレベル12は組み合わせた.

また,治療企図分析においても,ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンまたはヒドロキシクロロキン単独での治療は,対照群と比較して有意な効果は認められなかった.他の感度解析でも同様の結果が得られた.主要アウトカムに関する結果は,あらかじめ指定された(prespecified3群間で有意差は認めなかった

副次アウトカムは,7日目の臨床状態を6段階の順序尺度を用いて評価したもの,15日以内の挿管の適応,無作為化から15日目までの間のhigh-flow nasal cannulaHFNC)または非侵襲的人工呼吸を使った酸素投与,入院期間,院内死亡,血栓塞栓症合併,急性腎障害,および15日目までの生存日数と呼吸補助を使用しなかった日数,である.

副次アウトカムはいずれも有意差はなかったTable 2.最初の15日間に侵襲的人工呼吸管理を受けた患者は43人であった(ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン投与群11.0%,ヒドロキシクロロキン単独群7.5%,対照群6.9%).また,平均(±SD)生存日数および呼吸補助を使用しなかった日数は,ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン投与群では11.1±4.9,ヒドロキシクロロキン単独群では11.2±4.9,対照群では11.1±4.9であった.

試験期間中に合計18人の患者が病院で死亡した(ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン投与群5人,ヒドロキシクロロキン単独群7人,対照群6人).血栓塞栓症合併または15日以内の急性腎障害という副次アウトカムに関しては,事前に指定した解析(prespecified analysises)(Table 2)でも,死亡リスクを考慮した事後解析(post hoc analyses)でも,各群間の有意差は認めなかった

補正QT間隔延長および肝酵素値の上昇は,ヒドロキシクロロキン単独またはアジスロマイシンを投与された患者ではどちらの薬剤も投与されていない患者よりも頻度が高かった(Table 3

 

 

Table 1: Characteristics of the Patients at Baseline (Intention-to-Treat Population).

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/0/nejm.ahead-of-print/nejmoa2019014/20200730/images/img_medium/nejmoa2019014_t1.jpeg

 

 

Table 2: Primary and Secondary Outcomes (Modified Intention-to-Treat Population).

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/0/nejm.ahead-of-print/nejmoa2019014/20200730/images/img_medium/nejmoa2019014_t2.jpeg

 

 

Table 3: Adverse Events (Safety Population).

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/0/nejm.ahead-of-print/nejmoa2019014/20200730/images/img_medium/nejmoa2019014_t3.jpeg

 

Figure 1: Status of Patients on Day 15.

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/0/nejm.ahead-of-print/nejmoa2019014/20200730/images/img_medium/nejmoa2019014_f1.jpeg

 

Figure 2: Distribution of the Ordinal-Scale Results over Time.

https://www.nejm.org/na101/home/literatum/publisher/mms/journals/content/nejm/0/nejm.ahead-of-print/nejmoa2019014/20200730/images/img_medium/nejmoa2019014_f2.jpeg

CONCLUSIONS

軽症〜中等症Covid-19入院患者において,ヒドロキシクロロキンの単独またはアジスロマイシンとの併用治療は,標準治療と比較して15日目の臨床状態の改善は認めなかった