新型コロナウイルス感染症まとめver3-2202177日)ADEについて

当院HP関連ファイル:

2021526日(増強抗体による非古典的ADE

202169日(重症デング疾患におけるADE

ADESARS-CoV-2ワクチンと治療】

Lee, W.S., Wheatley, A.K., Kent, S.J. et al. Antibody-dependent enhancement and SARS-CoV-2 vaccines and therapies. Nat Microbiol 5, 1185–1191 (2020).

https://doi.org/10.1038/s41564-020-00789-5.

Main

抗体ベースのワクチンや治療薬の潜在的なハードルとして,抗体依存性増強(ADE: antibody-dependent enhancement)によってCOVID-19重症度を悪化させるリスクがある.ADEは,RSウイルス9)10)や麻疹11)12)などの他の呼吸器ウイルスを含む,様々なウイルス感染症の重症度を高める可能性がある.呼吸器感染症におけるADEは,サイトカインカスケードや細胞介在性免疫病理(cell-mediated immunopathology)など,抗体を介さないメカニズムを含む、より広いカテゴリーである”呼吸器疾患増強(ERD: enhanced respiratory disease)に含まれる(Box 1.ウイルス複製の促進によって引き起こされるADEは,デングウイルス13)14)や猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV: feline infectious peritonitis virus15)など,マクロファージに感染する他のウイルスでも観察されている.さらに,SARS-CoVMERS-CoVでは,in vitroおよびin vivoADEERDが報告されている.ADECOVID-19の免疫病理にどの程度寄与しているのか,活発に研究されている.

この展望では,SARS-CoV-2におけるADEのメカニズムの可能性を議論し,ワクチンや治療薬のリスク軽減のためのいくつかの原則を紹介する.また,COVID-19の病態におけるADEの関連性を明らかにするために,どのような種類の研究が考えられるかを紹介し,新たなデータがどのように臨床介入に影響を与えるかを検討する.

Box 1:

ERD:

ERDは,医療介入(特にワクチン)に伴う呼吸器ウイルス感染症の重篤な臨床症状を示す.自然感染でも同様の症状が現れることがあるため,前臨床試験や臨床試験では,介入群とプラセボ群の重症度の分布を比較することで,ERDが検出される.ERDは,FcR依存性抗体活性および補体活性化(すなわちADE)だけでなく,組織細胞死,サイトカインの放出,局所免疫細胞の活性化など,抗体に依存しない幅広い分子メカニズムと関連している可能性がある.

ADE:

ADEは,関与する分子メカニズムに基づいて2つの異なるタイプに大別される.

@増強された感染を介したADEADE via enhanced infection:

標的細胞への高い感染率は,Fc-FcR相互作用を介した抗体依存性様式で起こる.感染増強によるADEは,単球やマクロファージなどのFcγRIIa発現細胞への抗体依存性感染を検出するin vitroアッセイを用いて測定されるのが一般的である.しかし,in vitro ADE試験の結果と臨床的有用性との関連性は,直接観察されるというよりは,暗示されることが多い.デングウイルスは,感染の増強による臨床的ADEの最も優れた記録例である.

A増強された免疫活性を介したADE:

抗体依存性様式において,Fc介在性エフェクター機能および過剰な免疫複合体形成によって,疾患増強や免疫病理が引き起こされる.疾患増強に関連する抗体は,しばしば非中和抗体である.このタイプのADEは,通常,免疫病理や炎症マーカーを含む疾患の悪化を検出することによってin vivoで調べられており,呼吸器ウイルス感染症との関連が最も明確になっている.RSVや麻疹は,増強された免疫活性化を介したADEの例としてよく知られている.

 

ERDおよびADE(前述の第2のタイプ)は,重篤な疾患を引き起こす特定の分子メカニズムではなく,症状の有病率や疾患重症度などの臨床データによって特定されることが多い.免疫システムが異なる組織間に複雑なフィードバックループが存在するため,たとえADEERDを裏付ける臨床データが明確であっても,ヒトや動物を用いた研究でADEERDの分子メカニズムを決定的に解明することは(不可能ではないが)非常に困難である.ADEおよびERDの追跡には,多くの異なる測定法やアッセイが用いられており,それらは、特定のウイルス,前臨床および/または臨床プロトコル,採取された生物学的サンプル,使用されたin vitro技術に基づいて変化する可能性がある.

 

呼吸器系ADEは,ERDの特定のサブセットである.

 

Mechanisms of ADE:

ADEは,ウイルス感染症において2つの異なるメカニズムで起こることが報告されている: すなわち,Fcγ受容体IIaFcγRIIa)発現食細胞への抗体介在性ウイルス取り込みの促進によって,ウイルス感染および複製が増加する場合と,過剰な抗体Fc介在性エフェクター機能あるいは免疫複合体形成によって,炎症や免疫病理が促進される場合である(Figure 1, Box 1).いずれのADE経路も,非中和抗体あるいは中和レベル以下の抗体がウイルス抗原に結合しても,感染を阻止したり除去したりすることができない場合に起こりうるADEは,in vitroアッセイ(食細胞における感染のFcγRIIa介在性増強に関連する第1のメカニズムでは最も一般的),免疫病理学,肺病理学など,いくつかの方法で測定することができる.食細胞へのFcγRIIa介在性エンドサイトーシスを介したADEは,in vitroで観察することができ,ヒトのデングウイルス16)やネコのFIPV15)など,マクロファージ親和性(macrophage-tropic)ウイルスについて広く研究されている.このメカニズムでは,非中和性抗体がウイルスの表面に結合し,ビリオンをマクロファージに直接輸送し,その後マクロファージがビリオンを内部に取り込み増殖的に感染する.異なるデング血清型に対する多くの抗体は交差反応性を示すが非中和性であるため,異種株による二次感染はウイルス複製を増加させ,より重篤な疾患を引き起こす可能性があり,最近のデングワクチン試験で報告されたように大きな安全性リスクにつながる.他のワクチン試験では,FIPVSタンパク質に対して免疫賦活させた猫や,抗FIPV抗体を受動的に注入した猫は,FIPVに曝露させた(challenge)際の生存率が対照群に比べて低かった17).非中和抗体,あるいは中和レベル以下の抗体は,肺胞および腹膜マクロファージへの侵入を増強し18),これが感染を播種させ,疾患転帰を悪化させると考えられた19)

Figure 1: Two main ADE mechanisms in viral disease.

Fig. 1

a, For macrophage-tropic viruses such as dengue virus and FIPV, non-neutralizing or sub-neutralizing antibodies cause increased viral infection of monocytes or macrophages via FcγRIIa-mediated endocytosis, resulting in more severe disease. b, For non-macrophage-tropic respiratory viruses such as RSV and measles, non-neutralizing antibodies can form immune complexes with viral antigens inside airway tissues, resulting in the secretion of pro-inflammatory cytokines, immune cell recruitment and activation of the complement cascade within lung tissue. The ensuing inflammation can lead to airway obstruction and can cause acute respiratory distress syndrome in severe cases. COVID-19 immunopathology studies are still ongoing and the latest available data suggest that human macrophage infection by SARS-CoV-2 is unproductive. Existing evidence suggests that immune complex formation, complement deposition and local immune activation present the most likely ADE mechanisms in COVID-19 immunopathology. Figure created using BioRender.com.

 

呼吸器病原体に最もよく例示される第2ADEメカニズムでは,Fc介在性エフェクター機能は,観察可能な肺病理結果をもたらす強力な免疫カスケードを開始することにより,呼吸器系疾患を増強することがありうる20)21).単球,マクロファージ,好中球,樹状細胞,ナチュラルキラー細胞などの局所そして循環自然免疫細胞のFc介在性活性化は,ウイルス感染細胞やdebrisを除去する効果があるにもかかわらず,免疫活性化の調節不全(dysregulated immune activation)を引き起こす可能性がある.RSVや麻疹などのマクロファージ親和性がない呼吸器ウイルスの場合,非中和抗体は,気道組織に沈着する免疫複合体を形成し,サイトカインおよび補体経路を活性化することによって,ADEおよびERDを誘発し,その結果として,炎症,気道閉塞を引き起こし,重症の場合は急性呼吸窮迫症候群を引き起こすことが示されている10)11)22)23)RSVと麻疹によるADEのこれらの先行研究は,既知のCOVID-19臨床症状と多くの類似点がある.例えば,COVID-19SARSでは、補体カスケードの過剰活性化が炎症性肺傷害の原因となることが示されている24)25).最近行われた2つの研究では,COVID-19患者のSおよびRBD特異的免疫グロブリンGIgG)抗体は,Fcドメイン内のフコシル化レベルが低いことが明らかになった26)27).この親和性の高さは,より強固なFcγRIIIa介在性エフェクター機能を介して28)29),有益な場合もあるが,デングウイルスに対する非中和IgG抗体がアフコシル化されていると,より重篤な疾患転帰と関連していた30)Larsenらはさらに,COVID-19と急性呼吸窮迫症候群の両方を発症した患者のS特異的IgGは,無症候性あるいは軽症の感染症を発症した患者と比較して,フコシル化のレベルが低いことを示している26)SARS-CoV-2特異的抗体のフコシル化レベルの低下がCOVID-19の免疫病理に直接寄与しているかどうかは,まだ明らかになっていない.

重要なことは,SARS-CoV-2がマクロファージに増殖的に感染することは示されていないことである31)32)したがって,COVID-19病態に関連する最も可能性の高いADEメカニズムは,抗体-抗原免疫複合体が形成され,肺組織における免疫カスケードの過剰な活性化であることが,入手可能なデータから示唆されている(Figure 1

Evidence of ADE in coronavirus infections in vitro:

ADEは,ヒト免疫不全ウイルス(HIV33)34),エボラ出血熱35)36),インフルエンザ37),フラビウイルス38)など,多くのウイルスについてin vitroで十分に報告されてきたが,in vitroにおけるヒトコロナウイルスのADEの関連性についてはあまり明らかになっていない.いくつかの研究では,SARS-CoVMERS-CoV ビリオンが,in vitroにおいてFcRを発現した単球やマクロファージに取り込まれる量が増加することが示されている32)39)40)41)42)Yipらは,FcγRIIaと抗S血清抗体を介して,マクロファージへSARS-CoVS発現疑似ウイルスの取り込みが増強されることを発見した32).同様に,Wanらは,MERS-CoVRBDに対する中和モノクローナル抗体(mAb: monoclonal antibody)が,FcγRIIaをトランスフェクトしたマクロファージや各cell linesへのビリオンの取り込みを増加させることを示した39)(トランスフェクション: 核酸を細胞内へ導入する過程).しかし,抗原特異的抗体が食細胞への取り込みを促進するという事実は,インフルエンザをはじめとするウイルス除去を行うために,単球やマクロファージがFcγRIIaを介した抗体依存性の食作用を媒介できることから,驚きに値しない43).重要なのは,感染したマウスのマクロファージが,SARS-CoVの抗体介在性のクリアランスに寄与したことである44)MERS-CoVはマクロファージに増殖的に感染することが確認されているが45),マクロファージへのSARS-CoV感染は成功せず(abortive),抗体依存性に取り込まれた後の炎症誘発性サイトカイン(pro-inflammatory cytokine)の遺伝子発現プロファイルを変化させない41)42).これまでの知見では,マクロファージがSARS-CoV-2感染の増殖的宿主であることは否定的である(argue against31)32)

ADE in human coronavirus infections:

ヒトのコロナウイルス感染症におけるADEの決定的な役割は確立されていない.SARS患者におけるADEの懸念は,セロコンバージョンおよび中和抗体反応が臨床的重症度および死亡率と相関していることが明らかになったときに初めて提起された46)COVID-19患者においても同様の結果が報告されており,SARS-CoV-2に対する抗体価が高いことと重症疾患の関連が報告されている47).一つの単純な仮説として,重症COVID-19患者の抗体価が高いのは,ウイルス量が多いために抗原への曝露がより多く,より曝露時間が長くなっているからだと考えられている48)49).しかし最近の研究では,上気道へのウイルス排出は、無症候性COVID-19患者と症候性COVID-19患者の間で区別できないことが示された(ref. 50).症候性患者は、より高い抗SARS-CoV-2抗体価を示し,上気道からウイルスをより早く除去した.これは,抗体価は単にウイルス量が多いことに起因するという単純な仮説と矛盾する.他の研究では,抗SARS-CoV-2 T細胞応答は,軽症でも無症候性感染でも高レベルで見られることが示されている51)52).これらのデータを総合すると,強いT細胞応答は幅広い臨床症状の患者に見られるが,強い抗体価(strong antibody titres)は重症COVID-19とより密接に関連していることが示唆される.重要な注意点(caveat)として,ウイルス排出量は下気道ではなく上気道で測定されたことが挙げられる50).重症COVID-19の肺病変には下気道がより重要であると考えられるが,SARS-CoV-2のウイルス排出量が上気道と下気道でどの程度相関しているのかは明らかではない.

SARS-CoV-2の新規感染に対する宿主反応だけでなく,COVID-19患者のADEを媒介する、他のヒトコロナウイルス株に対する既存の抗体の可能性も懸念される53).ヒト集団に常在するコロナウイルス株(HKU1OC43NL63229Eなど)によって誘発される抗体は,ウイルスが中和されていない状態でSARS-CoV-2の交差反応性認識を促進することで,理論的にはADEを媒介する可能性がある.予備データによると,季節性ヒトコロナウイルス株に高い反応性を示したSARS-CoV-2ナイーブドナーの抗体は,SARS-CoV-2のヌクレオカプシドとS2サブユニットに対して低いレベルの交差反応性を示すことがわかった(ref. 54).このような交差反応性抗体が,SARS-COV-2の臨床的ADEに寄与するかどうかは,まだ明らかになっていない.

Risk of ERD for SARS-CoV-2 vaccines:

SARS-CoV-2ワクチンの安全性に対する懸念は,当初、SARS-CoVワクチンを接種した動物がウイルス感染後に免疫病理の増強あるいはERDを示したマウス研究によって高まった55)56)57)58).観察された免疫病理は,Th2細胞に偏った反応55)と関連しており,主にヌクレオカプシドタンパク質に対するものであった56)58).重要なことは,ヌクレオカプシド特異的免疫血清を受動的に移しても,曝露したマウスに免疫病理が観察されなかったことである56).これは,移された血清の量では、増強された疾患が再現されなかったことを裏付けている.SARS-CoVMERS-CoVの不活化全ウイルスまたはウイルスベクターベースのワクチンを用いた同様の研究では,ウイルス曝露後に免疫病理が観察され59)60)61)Th2サイトカインに偏った反応55)や肺への過剰な好酸球浸潤57)と関連していた.合理的なアジュバントの選択は,Th1細胞に偏った反応を確実にすることで,ワクチン関連のERDリスクを大幅に軽減することができる.ミョウバン,CpGAdvax(デルタイヌリン[delta inulin]ベースのアジュバント)のいずれかで製剤化されたSARS-CoVワクチン候補では,ミョウバンによるTh2に偏った反応がマウスの肺好酸球性免疫病理を引き起こしたのに対し,Advaxでは免疫病理を伴わない防御と,よりバランスのとれたTh1/Th2応答が誘導されることがわかった62)Hashemらは,MERS-CoV S1を発現させたアデノウイルス5ウイルスベクターを接種したマウスは,防御効果があるにもかかわらず,ウイルス曝露後に肺病変を示すことを報告した.重要なのは,分子アジュバントとしてCD40Lを含めることで,Th1応答が増強され,ワクチンに関連する免疫病理が予防されたことである63)

ヒトワクチンによるERDは、接種群とプラセボ群を統計的に比較するのに十分な感染イベントが発生する大規模な第2相・第3相の有効性試験で初めて観察されることになるだろう.COVID-19ワクチンの安全性プロファイルは,特に免疫病理を引き起こす可能性が理論的に高いと思われるワクチン(不活化全ウイルス製剤やウイルスベクターなど)については,ヒトでの有効性試験中にリアルタイムで注意深く観察する必要がある64)65)

Risk of ADE for SARS-CoV-2 vaccines:

SARS-CoV動物モデルにおけるワクチン誘発性ADEの証拠は相反するものであり,安全性の懸念の可能性をもたらしている.Liuらは,SARS-CoV Sタンパク質を発現させた修飾ワクシニア・アンカラウイルスベクターで免疫性を与えたマカクは,曝露後のウイルス複製が減少する一方で,抗S IgGが炎症性マクロファージの肺浸潤を増強し,ワクチンを接種していない動物と比較して重篤な肺傷害を引き起こすことを明らかにした66).さらに彼らは,ウイルス除去に先立って抗S IgGが存在すると,マクロファージ創傷治癒反応が炎症誘発性反応に偏ることを示した.別の研究でWangらは,SARS-CoV Sタンパク質の4つのB細胞ペプチドエピトープでマカクに免疫性を与えたところ,3つのペプチドがマカクをウイルス曝露から防御する抗体を誘発した一方で,ペプチドワクチンの1つがin vitroで感染を増強する抗体を誘発し,in vivoではより重篤な肺病理を引き起こすことを明らかにした67)

一方Luoらは,中和抗体価が低いと生体内での感染が増強されるかどうかを調べるために,不活化ワクチンによる免疫賦活後9週間が経過し,中和抗体価が防御レベルよりも低下した時点でアカゲザルにSARS-CoVを曝露した68).免疫が与えられたマカクのほとんどがウイルス曝露後に感染したが,プラセボ対照群に比べてウイルス価は低く,肺病変レベルは高くなかった.同様にQinらは,不活化SARS-CoVワクチンがカニクイザルをウイルス曝露から防御し,中和抗体価の低いカニクイザルでも肺の免疫病理を増強させないことを示した69).ハムスターを用いた研究では,in vitroにおいてFcγRIIを介してB細胞へのウイルス侵入が増強されたにもかかわらず,組換えSARS-CoV Sタンパク質を接種した動物はウイルス曝露から防御され,肺病変の増強は見られなかった70)

このように,動物モデルを用いたSARS-CoV免疫研究では,防御効果,免疫病理,ADEの可能性の観点から,採用したワクチン戦略に応じて大きく異なる結果が得られている.にもかかわらず,Sタンパク質に対する中和抗体を誘発するワクチンは,感染や疾患の拡大を示す証拠はなく,SARS-CoV曝露から動物を確実に防御する71)72)73)SARS-CoV-2に対するヒトでの免疫戦略は,高い中和抗体価を誘導することで,ADEのリスクを最小限に抑えながら成功する可能性が高いことを,これらのデータは示唆している例えば,S特異的中和抗体を誘導できるサブユニットワクチンは,ADEのリスクが低いはずである(特に,非中和エピトープの提示を減らすために,プレフュージョン構造で安定化されたSに対して8).このような最新の免疫原(immunogen)設計アプローチは,非中和抗体に関連する免疫病理の可能性を軽減するはずである.

病的(pathologicADEERDを引き起こすリスクが高い理論上のワクチンには,不活化ウイルスワクチンが含まれる不活化ウイルスワクチンは,非中和抗原ターゲットおよび/または非中和構造におけるSタンパク質が含まれている可能性があり,他の呼吸器病原体で観察されたよく知られたメカニズムを介して追加の炎症を引き起こす可能性のある,多数の非防御性抗体ターゲットが提供される.しかし,不活化SARS-CoV-2ワクチンの最近の評価では,マウス,ラット,アカゲザルで強力な中和抗体が産生され,アカゲザルでは病変増強を示すことなく,用量依存的な防御効果が得られたことは心強い74).シリアンハムスターはアカゲザルモデルよりもヒトCOVID-19免疫病理をより忠実に再現していると考えられるため,今後はシリアンハムスターモデルでのワクチン研究を進めることで,重要な前臨床データ(preclinical data)が得られるかもしれない75)

ADE and recombinant antibody interventions:

SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するmAbの発見は急速に進んでいる.最近のB細胞スクリーニングと抗体発見の進歩により,ヒト回復期ドナー76)77)や免疫賦活された動物モデル78)から,また以前に同定されたSARS-CoV抗体79)を再設計することによって,強力なSARS-CoV-2中和抗体を迅速に分離することが可能になった.今後数週間から数ヶ月の間に,さらに多くの強力な中和抗体が同定される予定であり,20207月にはいくつかのヒト臨床試験が進行中である.ヒトでの臨床試験は,単一mAbとカクテルの両方について,予防と治療の両方の用途で構成される予定である.また,一部のヒト臨床試験では,ADEリスクをさらに低減するために,FcRノックアウト変異を取り入れている80).前臨床試験データでは,中和閾値を大幅に上回る用量の強力な中和mAbであれば,ADEのリスクは低いことが示唆されており,このようなmAbは,感染あるいは疾患を増強させることなく,マウスやシリアンハムスターをSARS-CoV-2感染から防御する81)82)mAb濃度が防御のための閾値以下に減衰した期間では,ADEのリスクが高まる可能性がある(これは,デング熱におけるADEの重要な臨床的証拠となった歴史的な母子データに一致する83)).この防御濃度以下の範囲は,mAb投与後,初期投与量の大部分が体内から排出される数週間から数ヶ月後に発生すると考えられる.注目すべきことに,SARS-CoV-2曝露に先立ち,RBD特異的中和mAbを低用量投与したシリアンハムスターでは,対照動物に比べて体重減少の傾向が見られた82)(その差は統計的には有意ではなく,低用量投与の動物は対照動物に比べて肺のウイルス量が少なかったが).また,非中和抗体が疾患を増強するかどうかを調べるために,SARS-CoV-2に対する非中和mAbをハムスターモデルの感染前または感染後に投与することもできる.また,感染後のさまざまな時点でmAbを受動的に投与することで(例えば,感染のピーク時にウイルス量が多い場合など),免疫複合体の形成および沈着が疾患や肺の免疫病理の増強につながるかどうかを調べることができる.もし中和または非中和mAbADEが懸念される場合は,これらの抗体のFc部分にFcR結合を無効にする変異を加えて設計することができる80).動物実験では,マウスのA型およびB型インフルエンザ感染症84)85)や,マカクのシミアンHIV感染症86)87)に関する過去の研究と同様に,Fc介在性エフェクター機能がSARS-CoV-2感染症の予防,治療,悪化に重要であるかどうかを知ることができる.動物モデルにおいて,ヒトmAbを試験する際の重要な注意点は,ヒト抗体のFc領域は,ヒトのFcRと同じようには動物のFcRと相互作用しない可能性があることである88)ADEの前臨床試験に使用する抗体は,可能な限り,Fcエフェクター機能を適切にモデル化するために,種をマッチさせたFc領域が必要だろう.

ADE and convalescent plasma interventions:

回復期血漿(CP: convalescent plasma)療法は,有効な抗ウイルス治療薬がない中,多くのウイルスアウトブレイク時に重症患者の治療に用いられてきた.CP療法は,分子レベルで定義された医薬品が発見され,評価され,大規模に生産されるまでの間,治療のための迅速な解決策を提供することができる.CP抗体は,理論的にはADEを介して疾患を増悪させる危険性があるが,SARS-CoVおよびMERS-CoVアウトブレイクにおける症例報告では,CP療法は安全であり,臨床転帰の改善と関連していることが示されている89)90)SARSアウトブレイク時に行われた最大規模の研究では,香港におけるSARS患者80人の治療が報告されている91).プラセボ対照群はなかったが,CPに関連した副作用は検出されず,感染初期に治療を受けた患者の退院率は高かった.重症COVID-19患者を対象としたいくつかの小規模な研究や,5,000人のCOVID-19患者を対象とした研究では,CP療法は安全で,疾患転帰を改善する可能性があることが示されているが,その効果は軽度のようだ97).しかし,これまでのほとんどの研究は非対照であり,多くの患者が抗ウイルス薬やコルチコステロイドなどの他の薬剤でも治療を受けていたため,CP療法が回復に寄与したかどうかを判断することは困難である.また,重症COVID-19患者はすでにSARS-CoV-2に対する高い抗体価を獲得している可能性があるため,重症患者におけるCP療法の潜在的なメリットも不明である(refs. 47,98)CPは,背景に危険因子を持つ者,フロントラインの医療従事者,COVID-19感染者と接触する者など,高リスク集団への予防的使用が提案されている99).確立された呼吸器感染症と比較して,初期のウイルス感染に関連する抗原量はより低いので,予防的使用のためのCPは,治療的使用と比較して,さらにADEリスクは低いかもしれない.組み換えmAbについて前述したように,また過去のデングウイルスの母子感染のデータに示されているように,CPの予防的使用におけるADEの理論上のリスクは,血清中和抗体価が防御レベル以下に低下する投与後の数週間で最も高くなる.CP試験におけるADEリスクは,組換えmAb試験よりも定量化が難しいと思われる.なぜなら,正確なCPの組成は,治療を受けた患者や治療プロトコルによって大きく異なるためである.特に,血漿プーリングを行わずに,患者とレシピエントの11のプロトコルで実施されるCP試験では,そのような傾向が見られる.

CPの治療や予防における潜在的なADEのリスクを軽減するために,血漿ドナーを事前にスクリーニングし,中和力価が高いことを確認することができる.また,提供されたCPから抗S抗体または抗RBD抗体を精製して中和抗体を濃縮し,他のSARS-CoV-2抗原に対する非中和抗体によって引き起こされるADEリスクを回避することも可能である.動物モデルを用いた投与に関する研究は,予防的および治療的使用の両方において,十分に管理された環境でCPのリスクを明らかにするのに役立つ.現在,CPの主要な動物実験(特にシリアンハムスターを使用し,抗体のFc領域を一致させたハムスター由来のCPを使用するのが理想的)と,ヒトの臨床における安全性と有効性の結果が同時に出てきている.これらの前臨床および臨床データは,ADEのリスクプロファイルを,輸血関連急性肺傷害96)100)を含む,ヒトのCPで起こりうる他の既知の重篤な有害事象と比較して断定するのに役立つだろう.

Conclusion

ADEは,SARSMERS,およびRSVや麻疹を含むその他のヒト呼吸器ウイルス感染症で観察されており,SARS-CoV-2ワクチンや抗体ベースの介入にADEの現実的なリスクがあることを示唆している.しかし臨床データは,ヒトCOVID-19病理におけるADEの役割をまだ完全には確立していない.免疫療法によるADEリスクを低減するためには,ADEを引き起こす可能性の高い低濃度の非中和抗体ではなく,高用量の強力な中和抗体を誘導または投与することが必要である.

今後は,動物および臨床データからADEのサインを評価し,臨床的にADEが認められた場合には,ADEに関連する安全性のリスクと介入効果のバランスをとることが重要となる.現在進行中の動物実験およびヒトの臨床試験によって,COVID-19ADEのメカニズムに関する重要な洞察が得られるだろう.このような証拠は,COVID-19の世界的な負担を軽減するために必要となる大規模な医療介入において,製品の安全性を確保するために切実に必要とされる.

 

References

省略.

s41564-020-00789-5.pdf

 

 

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症まとめver3-2202177日)ADEについて 

728日追記しました

【ヒト単球由来マクロファージ感染および抗体を介したSARS-CoV-2感染の増強を示す

証拠はない】

García-Nicolás O, V’kovski P, Zettl F, Zimmer G, Thiel V and Summerfield A (2021) No Evidence for Human Monocyte-Derived Macrophage Infection and Antibody-Mediated Enhancement of SARS-CoV-2 Infection. Front. Cell. Infect. Microbiol. 11:644574. Apr 12, 2021.

https://doi.org/10.3389/fcimb.2021.644574.

Introduction

現在の状況では,SARS-CoV-2に対する中和抗体がないため,ウイルスは人間の間で急速に広がっている.世界的なワクチン接種キャンペーンは,最終的にパンデミックを抑制する可能性があり,最近ではワクチン接種プログラムが開始されている.しかし懸念されるのは,ワクチン接種がSARS-CoV-2感染の抗体依存性増強(ADE: antibody-dependent enhancement)を促進し,疾患増強に関連する可能性である(Lee et al., 2020)

感染のADEの基本的なメカニズムは,ビリオン-抗体複合体(virion-antibody complexes)と,マクロファージのような免疫細胞が発現するFcγRFc gamma receptors. Fc gamma 受容体)との相互作用に基づいているビリオン-抗体複合体がFc受容体に結合すると,受容体を介したエンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれ,細胞に感染する可能性がある(Taylor et al., 2015).我々の研究を開始した時点では,この可能性について推測や警鐘を鳴らしていたにもかかわらず,SARS-CoV-2ADEを具体的に取り上げたデータは発表されていなかった(Lee et al., 2020; Rogers et al., 2020).この点を考慮して,本研究では,回復期COVID-19患者の免疫血清がSARS-CoV-2の感染を増強し,ヒトマクロファージによる炎症惹起性サイトカイン(pro-inflammatory cytokines)産生の分泌を促進するかどうかを調べることを目的とした.そのため,ヒトコロナウイルス229EHCOV-229E),中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV),SARS-CoVSARS-CoV-2の感染に対するヒトマクロファージの感受性と,これらの細胞の炎症性サイトカイン反応について比較研究を行った.SARS-CoVおよびSARS-CoV-2による感染のADEの可能性を,COVID-19患者の回復期免疫血清を用いて検討した.

Methods

※一部翻訳

Antibody-Dependent Enhancement of Infection:

今回の研究では,過去に報告された研究で得られたCOVID-19回復期患者の血清コレクションを採用した(Zettl et al., 2020).これには,SARS-CoV-2に対する広範な中和力価(ND50 <1:10; 1:20; 1:160; 1:240; 1:2560)を有する血清が含まれる.これらの血清のADEの可能性を検査するために,異なる血清希釈液(1:10; 1:100; 1:1000; 1:10000)を,1TCID50/cellMOIに対応する同量のウイルス懸濁液(SARS-CoVまたはSARS-CoV-2)と37℃で30分間インキュベートした.その後,ウイルス/血清混合物をヒトマクロファージまたはVero E6細胞に添加し,37℃,5CO2環境下で30分間インキュベートした.細胞をPBS3回洗浄した後,新鮮培地を加えた.感染のADEのコントロールとして,マクロファージにおけるJEVの感染のADEを誘導する能力が高いことが知られている免疫されたブタ血清を採用した(Garcia-Nicolas et al., 2017).血清(JEV Laosにとっての1:160ND50)を血清希釈し(1:10; 1:100; 1:1000; 1:10000),1TCID50/cellMOIJEV Laos37℃で30分間インキュベートした.コントロールとしてブタナイーブ血清を含めた.その後,ウイルス/血清混合物をhMDMに加え,37℃で30分間インキュベートした後,洗浄し,新鮮培地を加えた.37℃で24時間インキュベートした後,フローサイトメトリーによりウイルスの感染性を測定した.

Results

Visualization of Coronavirus Replication by Immunolabeling of dsRNA:

dsRNAは,コロナウイルス複製時に二重膜小胞(double-membrane vesicles)内に存在する複製中間体(replication intermediate)であることを考慮すると(Wolff et al, 2020)

コロナウイルスに感染した細胞は,ウイルスタンパク質に対する抗体ではなく、dsRNAに対する抗体によって特異的に検出される可能性がある.この目的のためにdsRNAの免疫標識の適性を評価するために、SARS-CoVまたはSARS-CoV-2のいずれかを 1 TCID50/mlMOIMultiplicity of Infection.多重感染度.ウエル中の培養細胞に対するウイルス粒子の比率.細胞1個に対するウイルスの数)で感染させたVero E6細胞をdsRNANタンパク質で二重染色し,免疫蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリーで解析した(Figure 1).dsRNA染色では,Nタンパク質の標識と同程度に免疫蛍光顕微鏡で感染細胞を識別することができたが(Figure 1A, B),フローサイトメトリーでは、Nタンパク質を標識した場合にのみ機能した(Figure 1A).この実験により,dsRNAを免疫標識することで,ウイルスタンパク質を特異的に認識する抗体がなくても,異なるコロナウイルスに感染した細胞を免疫蛍光顕微鏡で識別できることが示された.一方,Nタンパク質の標識とフローサイトメトリーを併用することで,SARS-CoVまたはSARS-CoV-2に感染した細胞を効率的に検出することができる.

 

 

Figure 1: Determination of SARS-CoV and SARS-CoV-2 infected hMDM by immunolabeling for dsRNA and N protein. Vere E6 cells were infected with SARS-CoV and SARS-CoV-2 at MOI 1 TCID50/cell, and after 24 hpi dsRNA and N protein were labeled with specific antibodies. The nuclei were stained with DAPI. Then positive cells for dsRNA and N were quantified either by flow cytometry or immunofluorescence microscopy (A). In (B) example of representative images acquired by fluorescence microscopy is shown. The scale bar represent 40 µm. The data are from three independent experiments. Statistically significant differences between the conditions are indicated by asterisks (ns indicates non-statistical differences, *p < 0.05, **p ≤ 0.002 and ****p ≤ 0.0001).

 

https://www.frontiersin.org/files/Articles/644574/fcimb-11-644574-HTML/image_m/fcimb-11-644574-g001.jpg

 

 

Human Coronaviruses Differ in Their Ability to Infect hMDM:

HCoV-299EMERS-CoVSARS-CoVSARS-CoV-21 TCID50/cellMOIhMDMhuman monocyte derived macrophages)に感染させると,dsRNA免疫染色の観点から,風邪ウイルスHCOV-229Eには高い感受性を示し,高病原性コロナウイルスMERS-CoVには低い感受性を示し,SARS-CoVSARS-CoV-2には抵抗性を示した(Figure 2A, B).細胞培養上清中の感染性ウイルス粒子数を定量化したところ,HCOV-229EMERS-CoVのみがhMDMで効率よく複製された(Figure 2C).HCoV-229Eは感染hMDM比率がより高かった(32.79% ± 18.79 SD)が,MERS-CoVに感染したマクロファージの細胞培養上清で最も高いウイルス力価が認められた(Figure 2C).ただし,HCOV-229Eの至適温度は33℃であるが,すべての実験は37℃で行われたことを考慮する必要がある(Dijkman et al., 2013).SARS-CoVおよびSARS-CoV-2のウイルス力価は,mock controlと比較して統計的に有意な差はなかった.いくつかのウェルで検出されたバックグラウンドシグナルは,接種したウイルス粒子がhMDMの表面に結合したままで,細胞を洗浄しても除去されなかったためと考えられる.

Figure 2: Susceptibility of hMDM to different human coronaviruses. Human MDM were inoculated with different coronaviruses (hCoV-229E, MERS-CoV, SARS-CoV-1 and SARS-CoV-2) using an MOI of 1 TCID50/cell. Mock-infected cells were included as controls. After incubating the cells for 1.5 hours, the inoculum was removed, the cells washed, and fresh medium added. At 24 hpi, dsRNA in the cells was detected with a specific antibody and nuclei were stained with DAPI; the scale bar represents 40 µm. (A) The percentage of dsRNA-positive hMDM was calculated for 10 fields per condition (B). In (C) virus titers are shown. The same experiment was repeated with hCoV-229E, SARS-CoV-1 and SARS-CoV-2, and infected cells were quantified at 24, 48 and 72 hpi (D). The relative number of total hMDM per well was calculated taking as reference the number of cells at 24 hpi (E). The data from three independent experiments run in triplicates are shown in each panel. Statistically significant differences between the conditions are indicated by different superscript letters in (B, C) (p < 0.05), and by asterisks in (D, E) (****p ≤ 0.0001).

 

 

https://www.frontiersin.org/files/Articles/644574/fcimb-11-644574-HTML/image_m/fcimb-11-644574-g002.jpg

我々はさらに,48hpiおよび72hpi時点で、SARS-CoVおよびSARS-CoV-2へのhMDMの感染性を調べた.HCoV-229EhMDMに効率よく感染したが,SARS-CoVSARS-CoV-2もいずれの時点でもhMDMに感染することはできなかった(Figure 2D).さらに,SARS-CoVおよびSARS-CoV-2ではなく,HCOV-299Eのみの感染hMDMが有意な細胞数の減少を示し,ウイルスによる細胞変性効果を示唆している(Figure 2E).

Human MDM Produce Cytokines Following Infection With HCoV-229E:

HCoV-229Eに感染したhMDMは,(MERS-CoVSARS-CoVSARS-CoV-2には感染せず),そしてTNFを分泌し,低レベルのIFN-βとIL-6を分泌した(Figure 3).また,IL-1β分泌を誘導したコロナウイルスはなかった.ウイルスRNAが自然免疫応答を誘導する可能性を考慮して,我々は,dsRNA陽性細胞の割合,ウイルス力価,分泌されるサイトカインレベルにおける相関関係を調べた.その結果,感染細胞の割合と分泌されるサイトカインレベルの間には明確な関連性が認められたが,ウイルスの力価とは関連性がなかった(Table 1).

 

Figure 3: Human MDM immune response after coronavirus infection. Human MDM were inoculated with different coronaviruses (hCoV-229E, MERS-CoV, SARS-CoV-1 and SARS-CoV-2) as described before. Mock-infected cells or cells treated with LPS or poly I:C served as controls. After 24 hpi TNF (A) IFN-β (B) and IL-6 (C) were determined in the cell culture supernatants. The data from three independent experiments run in triplicates are shown. Different superscript letters indicate a significant difference (p < 0.05) between the conditions.

 

https://www.frontiersin.org/files/Articles/644574/fcimb-11-644574-HTML/image_m/fcimb-11-644574-g003.jpg

 

Table 1:

 

Human MDM Express SARS-CoV-2 Receptor ACE2 but No or Low Levels of TMPRSS2:

まず,hMDMSARS-CoV-2による感染に抵抗性を示すことから,ウイルスの細胞受容体であるACE2と,スパイクタンパク質のタンパク質分解活性化に関与するセリンプロテアーゼであるTMPRSS2の発現レベルを評価した(Hoffmann et al., 2020; Shang et al., 2020).そのため,分化後のhMDMにおいて,細胞のACE2TMPRSS2の二重免疫標識を行い,フローサイトメトリーでその発現を評価した(Figure 4).ACE2TMPRSS2をトランスフェクトしたA549細胞をpositive controlとして用いた.この実験により,hMDMACE2TMPRSS2をトランスフェクトしたA549細胞(29.8% ± 3.55SD; Figure 4A)に匹敵する高レベルのACE233.3% ± 8.25SD; Figure 4A)を発現していることがわかった.一方,TMPRSS2陽性hMDMの割合は、ACE2TMPRSS2をトランスフェクトしたA549細胞(25.3% ± 2.66SD; Figure 4A)に比べて非常に低かった(3.03% ± 2.17SD; Figure 4A).これらの結果から,hMDMSARS-CoV-2の受容体であるACE2を発現しているものの,TMPRSS2の発現がないため,感染を防ぐことができる可能性が示された.

Figure 4: ACE2 and TMPRSS2 expression in hMDM. After 6 days of differentiation ACE2 and TMPRSS2 were immunolabeled with specific antibodies and positive cells were assessed by flow cytometry. A549 cells transfected with ACE2 and TMPRSS2 were used as control (A). Representative histograms for each marker in the analyzed cells are shown (B). The data from 5 different human donor hMDM run in triplicates are shown. Statistically significant differences in the expression of each marker between both cell types are marked by asterisks (****p ≤ 0.0001).

https://www.frontiersin.org/files/Articles/644574/fcimb-11-644574-HTML/image_m/fcimb-11-644574-g004.jpg

 

Antibodies From Convalescent COVID-19 Patients Neither Induce Antibody-Dependent Enhancement of Infection of hMDM With SARS-COV-2 Nor Promote Cytokine Responses:

まず、hMDMにおけるADEpositive controlとして,ブタMDMにおいてJEVJapanese encephalitis virus)の強いADEを誘導することが以前に実証された免疫化したブタ血清(sera from immunized pig)を使用した(Garcia-Nicolas et al., 2017).ブタIgGsのヒトFcRへの結合が低いにもかかわらず(Antonsson and Johansson, 2001),この実験では,そのようなJEV免疫複合体(JEV immune complexes)が,JEV Laos controlとナイーブブタ血清の同一希釈のどちらとも比較しても、hMDMの感染を増強することが示された(Supplementary Figure 1).この実験は,hMDMにおける感染のADEを検査する方法論の妥当性を示した.

 

 

Supplementary Figure 1: Positive control experiment for ADE with hMDM. Serum from pig vaccinated with an experimental JEV vaccine (red) and naïve serum (black) were ten-fold diluted (from 1:10 to 1:10000) and incubated with JEV Laos at MOI of 1 TCID50/ml for 30, then immune complexes were incubated with hMDM for another 30 min, after wash and incubation for 24 h, infected cells were quantified by flow cytometry. Data from four independent experiments run in triplicates are shown. Each symbol represents the average value of infection in hMDM from a different donor. Statistically significant differences are indicated by asterisks (*p < 0.05, **p ≤ 0.002, and ***p ≤ 0.001).

https://ndownloader.figstatic.com/files/27526088/preview/27526088/preview.jpg

次に,中和力が1:10未満,そして中和力が1:240COVID-19血清を選択し,1:10から1:1000まで連続的に希釈し,SARS-CoVSARS-CoV-2を混合した後,Vero E6細胞に添加した.いずれの血清も希釈依存的にSARS-CoV-2感染を抑制した.また,COVID-19回復期患者血清とSARS-CoV-1との交差反応性が認められ,これまでの報告(Zettl et al., 2020)を裏付ける結果となった(Table 2).

 

 

Table 2: Summary data for virus neutralization on Vero E6 cells and antibody-dependent enhancement of infection or cytokine response by hMDM for SARS-CoV and SARS-CoV-2-antibody complexes”+” detected; “-” not detected; “NT” not tested.

https://www.frontiersin.org/files/Articles/644574/fcimb-11-644574-HTML/image_m/fcimb-11-644574-t002.jpg

同じアプローチで,COVID-19回復期患者から採取した中和価が10未満から1:2560までの血清を,SARS-CoVおよびSARS-CoV-2と共に異なる濃度でインキュベートし,hMDMに添加した重要なことは,1:10000まで希釈した血清を用いても,hMDMへの感染は観察されなかったことであるさらに,ウイルス-抗体複合体(virus-antibodies complexes)にさらされたhMDMは,検出可能な炎症惹起性サイトカイン(pro-inflammatory cytokines)を一切分泌しなかった(Table 2.これらの結果から,SARS-CoVおよびSARS-CoV-2FcRを介して取り込まれても、ヒトマクロファージへの感染および活性化には至らないことが示された

 

Discussion

本研究では,風邪ウイルスであるhCoV-229EMERS-CoVとは対照的に,SARS-CoVSARS-CoV-2hMDMに感染できないということがまず観察されたSARS-CoV-2の受容体は,アンジオテンシン変換酵素2ACE2)であり、典型的には線毛上皮細胞,杯細胞,II型肺胞上皮細胞のほか,肺細胞のほか,腸細胞(enterocyte)などの異なる臓器の細胞に発現している(Sungnak et al., 2020).しかし,SARS-CoVによるヒトマクロファージの感染については,相反する報告がある.ある研究では,マクロファージによるACE2の発現は非常に限定されていると述べているが(Sungnak et al., 2020),別の報告では,組織に常駐するマクロファージに受容体が発現していると仮定している(Song et al., 2020)本研究では,培養・分化条件でhMDMの約30%ACE2を発現することを示したが,hMDMSARS-CoVSARS-CoV-2に対して寛容(permissive)ではなかった.なお、IFN刺激やウイルス感染により,dAEC2truncated ACE2 isoform,切断されたACE2アイソフォーム)の発現が確認されている(Onabajo et al., 2020)dAEC2は生物学的には活性を維持しているものの,SARS-CoV-2のスパイク結合を促進せず,進入受容体としての役割は果たしていない.hMDMdAEC2を発現しているかどうかは,まだ正式には決定されていない.ウイルスが細胞表面に付着した後,スパイクタンパク質は分解的に活性化され,膜融合を引き起こし,ウイルスゲノムを宿主細胞の細胞質に放出することができると考えられる.TMPRSS2または関連酵素によるタンパク質が分解される開裂(cleavage)は,通常は細胞表面で行われるが,その後の膜融合でも行われる(Hoffmann et al., 2020)The proteolytic cleavage by TMPRSS2 or related enzymes normally takes place at the cell surface as well as the subsequent membrane fusion).TMPRSS2が存在しない場合,SARS-CoVおよびSARS-CoV-2は,受容体を介したエンドサイトーシスの後、カテプシンB/Lによってタンパク質分解的に活性化される可能性がある(Hoffmann et al., 2020; Shang et al., 2020)本研究では,TMPRSS2hMDMにおける発現は非常に低いレベルであることが示されており,これは,ヒトマクロファージにおけるTMPRSS2の発現が非常に限定されているという過去の報告と一致している(Sungnak et al., 2020)したがって,これがマクロファージにおけるウイルス侵入の重要な制限因子ではないかと推測される.さらに最近では,CD74MHC classU)のp41 invariant chainが,ウイルスエンベロープタンパク質に対するカテプシンを介した開裂を阻害することが報告されている(Bruchez et al., 2020).マクロファージはCD74を恒常的に発現しているので(Cho and Roche, 2013)p41 invariant chainの存在がカテプシンB/Lの活性を阻害し,SARS-CoVおよびSARS-CoV-2による感染に対するhMDMの抵抗性に寄与している可能性がある.COVID-19患者のリンパ系臓器のマクロファージには,ウイルスの核タンパク質Nが検出されているが(Park, 2020)the viral nucleoprotein N has been detected in macrophages from lymphoid organs of COVID-19 patients),これが直接感染して生じたものなのか,感染細胞を貪食した結果生じたものなのかは明らかではない(but it is not clear whether this was caused by direct infection or as a consequence of phagocytosis of infected cells

HCoV-229EによるhMDMの感染は、これらの細胞がHCOV-229Eの細胞受容体であるアミノペプチダーゼNCD13)を発現していることと一致している(Yeager et al., 1992)HCoV-229Eが肺胞マクロファージに感染したとする過去の報告とも一致している(Funk et al., 2012)MERS-CoVの細胞受容体であるdipeptidyl peptidase-IVDPP4 ,別名CD26)は,健常者のヒト単球やマクロファージでは低レベルで発現しており(Wang et al., 2013; Zhong et al., 2013; Rao et al., 2018; Rao et al., 2019),我々の実験におけるhMDMMERS-CoV感染を説明することができる.

HCoV-229Eに感染したヒトマクロファージは,TNFを強く分泌する一方で,IL-6や一部のIFN-βも産生することを示した既報の結果とも一致している(Funk et al., 2012).最後に我々は,MERS-CoV感染後のマクロファージの自然免疫応答が乏しいことにも注目し,同様の結果を示した過去の報告を確認した(Zhou et al., 2014)

この原稿を書いている間に,SARS-CoV-2hMDMの免疫活性化を誘導するという矛盾したデータが発表された(Zheng et al., 2020)これらの矛盾した結果は,使用した方法論が異なることに起因しているかもしれない.我々は精製単球を用いて6日間でマクロファージを生成したが,ZhengらはPBMCM-CSFを加えて4日間培養し、細胞が接着するようになってからさらに10日間培養した(Zheng et al., 2020).もう1つの重要な方法論の違いは,我々の研究ではサイトカインの検出にELISAを用いたのに対し,Zhengらは,RT-PCRmRNAを解析したことである.発見されたmRNA誘導レベルはむしろ低かったため(0.3を下回る倍数変化の増加),ELISAによるタンパク質の検出も検出限界を下回った可能性がある.したがって,精製単球から作られたhMDMは,SARS-CoV-2の感染に対して寛容ではなく,炎症反応を起こさないを我々は考えている.これは,HCOV-229ETLR ligand controlsを用いた場合とは対照的である.今後,組織マクロファージに拡大した研究が重要であるが,我々の結果は,COVID-19で観察された炎症惹起性反応は,マクロファージの感染によるものではなく、他の自然免疫細胞や,マクロファージを含む可能性のある異なる免疫細胞間の複雑な相互作用に由来する可能性を示唆している.したがって,これらの事象を理解するためには,抗ウイルスサイトカイン反応のフロントラインにある形質細胞様樹状細胞のような,より多くの免疫細胞を調査する必要がある.

抗体が存在するCOVID-19では,ADEと炎症が関連している可能性があることから,hMDMを用いてこの仮説を検証した.COVID-19患者の回復期血清を選択し,前述の条件で行ったところ,非常に高い血清希釈でも,中和抗体レベルが低い血清でも,抗体を介したマクロファージ感染の増強や炎症惹起性サイトカイン反応の証拠は得られなかった.興味深いことに,COVID-19患者の回復期血清は,SARS-CoVとの交差反応性を示したが(Zettl et al., 2020),これは,過去のコロナウイルス感染流行に由来するSARS-CoV-2に対する交差反応性抗体の存在が,より重篤なCOVID-19とは関連しないことを示した過去の報告と一致している(Ng et al., 2020).さらに,マカクで実施されたワクチン接種/曝露実験では,疾患が増強される兆候は検出されなかった(Gao et al., 2020; Yu et al., 2020).最後に,回復期血漿で治療されたCOVID-19患者は,疾患増悪兆候を示さなかった(Casadevall and Pirofski, 2020; Joyner et al., 2020)これらのデータは,我々の発見と一致しており,SARS-CoV-2による直接接触あるいは回復期COVID-19患者からの抗体媒介によって,hMDMは感染,そして活性化ししないことを示しているSARS-CoVおよびSARS-CoV-2によるhMDM感染がないことは,ADEがないことの証拠となるが,我々の研究では,補体系やT細胞媒介性炎症の役割の可能性や,他のFcR発現細胞に対するADEの影響を除外することはできない

 

 

References

1) Antonsson A., Johansson P. J. H. (2001). Binding of human and animal immunoglobulins to the IgG Fc receptor induced by human cytomegalovirus. J. Gen. Virol. 82 (Pt 5), 1137–1145. doi: 10.1099/0022-1317-82-5-1137

2) Bruchez A., Sha K., Johnson J., Chen L., Stefani C., McConnell H., et al. (2020). MHC class II transactivator CIITA induces cell resistance to Ebola virus and SARS-like coronaviruses. Science 370 (6513), 241–247. doi: 10.1126/science.abb3753

3) Casadevall A., Pirofski L. A. (2020). The convalescent sera option for containing COVID-19. J. Clin. Invest. 130 (4), 1545–1548. doi: 10.1172/JCI138003

4) Cho K. J., Roche P. A. (2013). Regulation of MHC Class II-Peptide Complex Expression by Ubiquitination. Front. Immunol. 4, 69. doi: 10.3389/fimmu.2013.00369

5) Dijkman R., Jebbink M. F., Koekkoek S. M., Deijs M., Jonsdottir H. R., Molenkamp R., et al. (2013). Isolation and characterization of current human coronavirus strains in primary human epithelial cell cultures reveal differences in target cell tropism. J. Virol. 87 (11), 6081–6090. doi: 10.1128/JVI.03368-12

6) Funk C. J., Wang J., Ito Y., Travanty E. A., Voelker D. R., Holmes K. V., et al. (2012). Infection of human alveolar macrophages by human coronavirus strain 229E. J. Gen. Virol. 93 (Pt 3), 494–503. doi: 10.1099/vir.0.038414-0

7) Gao Q., Bao L., Mao H., Wang L., Xu K., Yang M., et al. (2020). Development of an inactivated vaccine candidate for SARS-CoV-2. Science 369 (6499), 77–81. doi: 10.1126/science.abc1932

8) Garcia-Nicolas O., Ricklin M. E., Liniger M., Vielle N. J., Python S., Souque P., et al. (2017). A Japanese Encephalitis Virus Vaccine Inducing Antibodies Strongly Enhancing In Vitro Infection Is Protective in Pigs. Viruses 9 (5). doi: 10.3390/v9050124

9) Hoffmann M., Kleine-Weber H., Schroeder S., Kruger N., Herrler T., Erichsen S., et al. (2020). SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor. Cell 181 (2), 271–280.e278. doi: 10.1016/j.cell.2020.02.052

10) Joyner M. J., Wright R. S., Fairweather D., Senefeld J. W., Bruno K. A., Klassen S. A., et al. (2020). Early safety indicators of COVID-19 convalescent plasma in 5000 patients. J. Clin. Invest. 130 (9), 4791–4797. doi: 10.1172/JCI140200

11) Lee W. S., Wheatley A. K., Kent S. J., DeKosky B. J. (2020). Antibody-dependent enhancement and SARS-CoV-2 vaccines and therapies. Nat. Microbiol. 5 (10), 1185–1191. doi: 10.1038/s41564-020-00789-5

12) Ng K. W., Faulkner N., Cornish G. H., Rosa A., Harvey R., Hussain S., et al. (2020). Preexisting and de novo humoral immunity to SARS-CoV-2 in humans. Science 370 (6522), 1339–1343. doi: 10.1126/science.abe1107

13) Onabajo O. O., Banday A. R., Stanifer M. L., Yan W., Obajemu A., Santer D. M., et al. (2020). Interferons and viruses induce a novel truncated ACE2 isoform and not the full-length SARS-CoV-2 receptor. Nat. Genet. 52 (12), 1283–1293. doi: 10.1038/s41588-020-00731-9

14) Park M. D. (2020). Macrophages: a Trojan horse in COVID-19? Nat. Rev. Immunol. 20 (6), 351. doi: 10.1038/s41577-020-0317-2

15) Rao X., Deiuliis J. A., Mihai G., Varghese J., Xia C., Frieman M. B., et al. (2018). Monocyte DPP4 Expression in Human Atherosclerosis Is Associated With Obesity and Dyslipidemia. Diabetes Care 41 (1), e1–e3. doi: 10.2337/dc17-0672

16) Rao X., Zhao S., Braunstein Z., Mao H., Razavi M., Duan L., et al. (2019). Oxidized LDL upregulates macrophage DPP4 expression via TLR4/TRIF/CD36 pathways. EBioMedicine 41, 50–61. doi: 10.1016/j.ebiom.2019.01.065

17) Rogers T. F., Zhao F., Huang D., Beutler N., Burns A., He W. T., et al. (2020). Isolation of potent SARS-CoV-2 neutralizing antibodies and protection from disease in a small animal model. Science 369 (6506), 956–963. doi: 10.1126/science.abc7520

18) Shang J., Ye G., Shi K., Wan Y., Luo C., Aihara H., et al. (2020). Structural basis of receptor recognition by SARS-CoV-2. Nature 581 (7807), 221–224. doi: 10.1038/s41586-020-2179-y

19) Song X., Hu W., Yu H., Zhao L., Zhao Y., Zhao X., et al. (2020). Little to no expression of angiotensin-converting enzyme-2 (ACE2) on most human peripheral blood immune cells but highly expressed on tissue macrophages. Cytometry 20, 1–10. doi: 10.1002/cyto.a.24285

20) Sungnak W., Huang N., Becavin C., Berg M., Queen R., Litvinukova M., et al. (2020). SARS-CoV-2 entry factors are highly expressed in nasal epithelial cells together with innate immune genes. Nat. Med. 26 (5), 681–687. doi: 10.1038/s41591-020-0868-6

21) Taylor A., Foo S. S., Bruzzone R., Dinh L. V., King N. J., Mahalingam S. (2015). Fc receptors in antibody-dependent enhancement of viral infections. Immunol. Rev. 268 (1), 340–364. doi: 10.1111/imr.12367

22) Thiel V., Herold J., Schelle B., Siddell S. G. (2001). Infectious RNA transcribed in vitro from a cDNA copy of the human coronavirus genome cloned in vaccinia virus. J. Gen. Virol. 82 (Pt 6), 1273–1281. doi: 10.1099/0022-1317-82-6-1273

23) Thiel V., Ivanov K. A., Putics A., Hertzig T., Schelle B., Bayer S., et al. (2003). Mechanisms and enzymes involved in SARS coronavirus genome expression. J. Gen. Virol. 84 (Pt 9), 2305–2315. doi: 10.1099/vir.0.19424-0

24) van Boheemen S., de Graaf M., Lauber C., Bestebroer T. M., Raj V. S., Zaki A. M., et al. (2012). Genomic characterization of a newly discovered coronavirus associated with acute respiratory distress syndrome in humans. mBio 3 (6). doi: 10.1128/mBio.00473-12

25) Wang N., Shi X., Jiang L., Zhang S., Wang D., Tong P., et al. (2013). Structure of MERS-CoV spike receptor-binding domain complexed with human receptor DPP4. Cell Res. 23 (8), 986–993. doi: 10.1038/cr.2013.92

26) Wolff G., Limpens R., Zevenhoven-Dobbe J. C., Laugks U., Zheng S., de Jong A. W. M., et al. (2020). A molecular pore spans the double membrane of the coronavirus replication organelle. Science 369 (6509), 1395–1398. doi: 10.1126/science.abd3629

27) Yeager C. L., Ashmun R. A., Williams R. K., Cardellichio C. B., Shapiro L. H., Look A. T., et al. (1992). Human aminopeptidase N is a receptor for human coronavirus 229E. Nature 357 (6377), 420–422. doi: 10.1038/357420a0

28) Yu J., Tostanoski L. H., Peter L., Mercado N. B., McMahan K., Mahrokhian S. H., et al. (2020). DNA vaccine protection against SARS-CoV-2 in rhesus macaques. Science 369 (6505), 806–811. doi: 10.1126/science.abc6284

29) Zettl F., Meister T. L., Vollmer T., Fischer B., Steinmann J., Krawczyk A., et al. (2020). Rapid Quantification of SARS-CoV-2-Neutralizing Antibodies Using Propagation-Defective Vesicular Stomatitis Virus Pseudotypes. Vaccines (Basel) 8 (3). doi: 10.3390/vaccines8030386

30) Zheng J., Wang Y., Li K., Meyerholz D. K., Allamargot C., Perlman S. (2020). SARS-CoV-2-induced immune activation and death of monocyte-derived human macrophages and dendritic cells. J. Infect. Dis. 223 (5), 785–795. doi: 10.1093/infdis/jiaa753

31) Zhong J., Rao X., Deiuliis J., Braunstein Z., Narula V., Hazey J., et al. (2013). A potential role for dendritic cell/macrophage-expressing DPP4 in obesity-induced visceral inflammation. Diabetes 62 (1), 149–157. doi: 10.2337/db12-0230

32) Zhou J., Chu H., Li C., Wong B. H., Cheng Z. S., Poon V. K., et al. (2014). Active replication of Middle East respiratory syndrome coronavirus and aberrant induction of inflammatory cytokines and chemokines in human macrophages: implications for pathogenesis. J. Infect. Dis. 209 (9), 1331–1342. doi: 10.1093/infdis/jit504

 

 

 

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症まとめver3-2202177日)ADEについて

2021824日追記しました

【感染増強抗SARS-CoV-2抗体は,オリジナルWuhan/D614G株とDelta変異ウイルスの両方を認識する.集団予防接種の潜在的リスク?】

Yahi N, et al. Infection-enhancing anti-SARS-CoV-2 antibodies recognize both the original Wuhan/D614G strain and Delta variants. A potential risk for mass vaccination?

Journal of Infection. Aug 9, 2021.

https://doi.org/10.1016/j.jinf.2021.08.010.

Highlight

症候性Covid-19では感染増強抗体が検出されている.

抗体依存性増強(ADE)はワクチンの潜在的な懸念である.

増強抗体は,Wuhan株とdelta変異ウイルスの両方を認識する.

●delta変異ウイルスのADEは,現在のワクチンの潜在的なリスクである.

●ADEエピトープを欠くワクチン製剤が提案されている.

 

Abstract

感染の抗体依存性増強(ADE)は,ワクチン戦略における安全性の懸念である.最近の発表では,Liら(Cell 184 :4203-4219, 2021)が、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のN末端ドメイン(NTD)に向けられた感染増強抗体は,in vitroではウイルス感染を促進するが,in vivoでは促進しないことを報告している.しかし,この研究はオリジナルのWuhan/D614G株を用いて行われたものである.現在,Covid-19パンデミックではDelta変異ウイルスが主流となっているため,これらの変異ウイルスのNTDと増強抗体の相互作用を解析した.分子モデリングの手法を用いて,我々は,増強抗体が,Wuhan/D614GNTDよりもDelta変異ウイルスのNTDに対して高い親和性を持つことを示している.また我々は,増強抗体はNTDを脂質ラフトマイクロドメイン(lipid raft microdomains)に固定することで,スパイク三量体の宿主細胞膜への結合を強化することを示している.この安定化メカニズムは,受容体結合ドメインのdemaskingを引き起こす構造変化を促進する可能性がある.NTDは中和抗体の標的にもなっていることから,我々のデータは,ワクチン接種を受けた人の中和抗体と促進抗体(facilitating antibodies)のバランスは,オリジナルWuhan/D614G株では中和に有利であることを示唆している.しかし,Delta変異ウイルスの場合,中和抗体はスパイクタンパクに対する親和性が低下しているのに対し,促進抗体は顕著に親和性が上昇している.したがって,オリジナルWuhan株スパイク配列に基づくワクチン(mRNAまたはウイルスベクター)を接種している人にとっては,ADEが懸念される.このような状況下では,構造的に保存されたADE関連エピトープを欠くスパイクタンパク製剤を用いた第二世代のワクチンを検討すべきである.

 

本研究の目的は,NTDに対する感染増強抗体によるSARS-CoV-2 Delta変異ウイルスの認識を評価することであった.抗体は,症候性Covid-19患者から分離された1052pdb file #7LAB1)を用いた.分子モデリングによるシミュレーションは,以前に報告された方法で行った2).現在流通している2つのDelta変異ウイルスを調査し,NTDには以下のような変異パターンが見られた:

G142D/E154K (B.1.617.1)

T19R/E156G/del157/del158/A222V (B.1.617.2)

それぞれの変異パターンをオリジナルWuhan/D614G株に導入し,エネルギー最小化を受け,それから抗体結合試験を行った.NTD領域におけるreference pdb file #7LABWuhan/D614G株)の相互作用のエネルギー(ΔG)は-229kJ/mol-1と推定された.Delta変異ウイルスの場合,相互作用のエネルギーは-272kJ.mol-1B.1.617.1)および-246kJ.mol-1B.1.617.2)に引き上げられた.このように,これらの感染増強抗体は,Delta変異ウイルスを認識するだけでなく,オリジナルのSARS-CoV-2株よりも高い親和性を示している.

Figure 1Aに,B.1.617.1変異ウイルスの三量体スパイクの細胞方向(cell-facing view)から見た全体構造を示す.予想通り,NTDに結合した促進抗体(緑色)は,ウイルス-細胞間の付着に干渉しないように接触面の後ろに位置している.実際,あらかじめ形成された抗体-NTD複合体は,宿主細胞膜に完全に結合することができる.NTDと脂質ラフトの相互作用をFigure 1Bに,ラフト-スパイク-抗体複合体の全体をFigure 1Cに示す.興味深いことに,Figure 1D-Eにさらに示されているように,抗体のごく一部が脂質ラフトと相互作用することがわかった.より正確には,アミノ酸残基28-31および72-74を含む抗体の重鎖の2つの異なるループが,ラフトの縁と直接相互作用することで複合体を安定化させている(Figure 1F).全体として,NTD-ラフト複合体の相互作用のエネルギーは,抗体がない場合の-399kJ.mol-1から,抗体がある場合の-457kJ.mol-1まで上昇した.NTDと脂質ラフトを挟み込むことで,抗体がスパイクタンパク質の細胞表面への付着を強化し,それゆえ,ウイルス感染プロセスの次のステップであるRBDの構造変化が促進されることになる2)

Figure 1: Infection enhancing antibodies recognize the NTD of Delta variants.

A. Molecular model of the Delta B.1.617.1 spike trimer as viewed from the host cell surface (chains A, B and C in cyan, yellow and purple, respectively), with the NTD and RBD of each chain indicated. The 1052 antibody is in green. B. Spike trimer with the B subunit bound to a lipid raft (with 6 ganglioside GM1 molecules). C. Trimolecular [spike-antibody-raft] complex. D. Focus on the NTD-antibody complex bound to the lipid raft. E. Secondary structures of the NTD (yellow) and the antibody (green) bound to lipid raft gangliosides. F. The 1052 antibody clamps the NTD and the edge of the lipid raft.

 

 

https://els-jbs-prod-cdn.jbs.elsevierhealth.com/cms/attachment/4bd173af-37af-443a-b038-deb300a2f7c0/gr1_lrg.jpg

このように,感染増強抗体による二重のNTD-ラフト認識という考え方は,他のウイルスにも有効な新しいタイプのADEであると考えられる.つまりは我々のデータは,抗NTD抗体によって誘発される,感染のFcR非依存性増強のメカニズムを説明するものである1)SARS-CoV-2ADEに初めて脂質ラフトが関係しているという我々のモデルは,デングウイルス感染のADEintact脂質ラフトが必要であるという過去のデータと一致している3)

Covid-19患者には,NTDに対する中和抗体も検出されている4)5)4A8抗体はこのような抗体の代表的なものである5)この抗体が認識する平坦NTD表面上のエピトープは,Delta変異ウイルスのNTDでは劇的に変化しており2)Delta変異ウイルスに曝露したワクチン接種者では活性が大きく失われていることが示唆されている.より一般的には,中和抗体と促進抗体のバランスは,ウイルス株によって大きく異なることが想定される(Figure 2).

 

 

Figure 2: Neutralization vs ADE balance according to SARS-CoV-2 strains.

https://els-jbs-prod-cdn.jbs.elsevierhealth.com/cms/attachment/6b783453-4cbc-4003-882c-b05d37629da9/gr2_lrg.jpg

現在のCovid-19ワクチン(mRNAまたはウイルスベクター)は,オリジナルWuhanスパイク配列に基づいている.中和抗体が促進抗体を圧倒する限り,ADEは懸念されない.しかし,SARS-CoV-2変異ウイルスが出現したことで,感染が増強される可能性がある.我々の構造的およびモデル化されたデータは,Delta変異ウイルスの場合,実際にそのようになる可能性を示唆している

結論として,オリジナルWuhan株スパイク配列に基づいたワクチン(mRNAまたはウイルスベクター)を接種した人が,その後Delta変異ウイルスに曝露した場合,ADEが発生する可能性がある.この潜在的なリスクは,Covid-19ワクチンが大量に使用される前から巧妙に予想されていたが6)SARS-CoV-2抗体がin vivoでの感染増強を媒介する能力は正式には実証されていない.しかし,これまでに得られた結果はむしろ安心できるものであったが1),我々の知る限り,Delta変異ウイルスのADEは特に評価されていなかった.我々のデータによると,Delta 変異ウイルスはNTDを標的とした感染増強抗体によって特によく認識されるため,現在のDelta変異ウイルスのパンデミックの際に大量のワクチンを接種する際の潜在的なリスクとなる可能性があるため,ADEの可能性についてさらに調査する必要がある.この観点から,構造的に保存されたADE関連エピトープ(structurally-conserved ADE-related epitopes)を欠いたスパイクタンパク製剤を用いた第二世代ワクチン7)を検討すべきである.

 

 

References

1) Li D.

et al.

In vitro and in vivo functions of SARS-CoV-2 infection-enhancing and neutralizing antibodies.

Cell. 2021; 184: 4203-4219

2) Fantini J.

Yahi N.

Azzaz F.

Chahinian H.

Structural dynamics of SARS-CoV-2 variants: a health monitoring strategy for anticipating Covid-19 outbreaks.

J Infect. 2021; 83: 197-206

3) Puerta-Guardo H.

Mosso C.

Medina F.

Liprandi F.

Ludert J.E.

del Angel R.M.

Antibody-dependent enhancement of dengue virus infection in U937 cells requires cholesterol-rich membrane microdomains.

J Gen Virol. 2010; 91: 394-403

4) Chi X.

et al.

A neutralizing human antibody binds to the N-terminal domain of the Spike protein of SARS-CoV-2.

Science. 2020; 369: 650-655

5) Liu L.

et al.

Potent neutralizing antibodies against multiple epitopes on SARS-CoV-2 spike.

Nature. 2020; 584: 450-456

6) Iwasaki A.

Yang Y.

The potential danger of suboptimal antibody responses in COVID-19.

Nat Rev Immunol. 2020; 20: 339-341

7) Fantini J.

Chahinian H.

Yahi N.

Leveraging coronavirus binding to gangliosides for innovative vaccine and therapeutic strategies against COVID-19.

Biochem Biophys Res Commun. 2021; 538: 132-136

 

 

 

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染症まとめver3-2202177日)ADEについて

1116日追記しました

SARS-CoV-2感染の抗体依存性増強は,IgG受容体であるFcγRIIAおよびFcγRIIIAによって媒介されるが,マクロファージによる異常なサイトカイン産生には関与しない】

Maemura T, , Kawaoka Y. Antibody-Dependent Enhancement of SARS-CoV-2 Infection Is Mediated by the IgG Receptors FcγRIIA and FcγRIIIA but Does Not Contribute to Aberrant Cytokine Production by Macrophages. mBio. 2021 Oct 26;12(5):e0198721. Epub 2021 Sep 28.

https://doi.org/10.1128/mBio.01987-21.

Abstract

COVID-19パンデミックでは,抗体の有害な影響が懸念されている.抗体依存性感染増強(ADE)は,SARS-CoV-2ウイルス再感染時の抗体応答だけでなく,COVID-19ワクチンに対する反応も含めて,最大の関心事の一つである.我々は本研究で,COVID-19回復期血漿とヒトFcγ受容体(FcγR)を発現させたBHK細胞を用いて,感染のADEを評価した.我々は,SARS-CoV-2に対して緩やかな感染のFcγRIIAおよびFcγRIIIA媒介性ADEを検出したSARS-CoV-2(そのvariantsを含む)を感染させた単球由来マクロファージでは,感染のADEが観察されたが,マクロファージでは炎症促進性サイトカイン/ケモカインの発現は上昇していなかった.このように,SARS-CoV-2感染は,感染のADEを誘発する抗体を産生するが,この抗体はマクロファージによる過剰なサイトカイン産生には寄与しない

IMPORTANCE

ウイルスは,主に細胞表面の特定の受容体を介して細胞に感染する.抗体依存性感染促進(ADE)は,ウイルスが免疫細胞に感染する際に,抗体やIgG受容体(FcγR)を介して行われる代替感染メカニズムである.デングウイルスやネココロナウイルスなど,いくつかのウイルスの病態にADEが関与していることから,ADEの正確なメカニズムとSARS-CoV-2の病態への寄与を評価することは重要である.本研究では,COVID-19患者の回復期血漿を用いて,FcγRIIAおよびFcγRIIIA2種類のFcγRsSARS-CoV-2感染のADEを媒介することを明らかにしたまたSARS-CoV-2とその最近のvariantsでは感染のADEが観察されたが,単球由来マクロファージにおける炎症促進性サイトカインの産生は増加しなかった.これらの結果から,SARS-CoV-2感染により,感染のADEを誘発する抗体が産生されるが,これらの抗体はSARS-CoV-2感染の間のマクロファージによるサイトカインの異常放出には関与していない可能性が示唆された.

 

 

INTRODUCTION>

コロナウイルス感染症2019COVID-19)の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2SARS-CoV-2)は,世界中に急速に広がり,壊滅的なパンデミックを引き起こしている(1)20215月現在,世界中で166,220,000人を超える患者と3,445,000人を超える死亡者が出ている(2)SARS-CoV-2とそのvariantsは,人々の健康と世界経済を破壊し続けている.

パンデミック時には,感染および拡散のリスクを軽減するために,世界規模でのワクチン接種キャンペーンが不可欠である(3).現在までに,いくつかのワクチンが開発され,承認されている(4).しかし,ワクチンの安全性に関する最大の懸念事項の1つは,ウイルス感染の抗体依存性増強(ADE)と呼ばれる現象である(5).患者が回復期血漿やモノクローナル抗体で治療を受ける際にも,感染のADEADE of infection)を考慮する必要がある(5).また,SARS-CoV-2 variantsの出現により,再感染の危険性があるため,感染のADEの可能性も考えられる.

ADEは,ウイルスが細胞に感染する際の代替メカニズムの一つである(5-7).ウイルスと抗体(主に非中和抗体や交差反応抗体)の免疫複合体は,免疫細胞上のFcγ受容体(FcγRs)と呼ばれる受容体分子と結合して体内に取り込まれ,ウイルス侵入が促進される(5,7).マクロファージ/単球は,その表面にFcγRFcγRIAFcγRIIAFcγRIIIA)を発現していることから(7-9),マクロファージは感染のADEの主要な誘発因子と考えられている.さらに,様々なウイルス感染のADEに伴い,マクロファージを含む免疫細胞によって炎症亢進が引き起こされることが多い(10)

感染のADEは,デングウイルス,RSウイルス,インフルエンザウイルスのほか,コロナウイルスのSARS-CoV-1や中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)など,さまざまなウイルスで起こる(5, 6)SARS-CoV-2感染が感染のADEを引き起こすかどうかを調べる研究がいくつか行われており(11, 12)SARS-CoV-2感染のADEは,回復期血漿療法の研究で観察された(12).この研究では,FcγRIIASARS-CoV-2感染症のADEを媒介することが報告されているが,その正確なメカニズムは完全には解明されていない.また,FcγRIAおよびFcγRIIIAは,それぞれ豚繁殖呼吸障害症候群ウイルス(porcine reproductive virus and respiratory syndrome virus(13),デングウイルス(14),日本脳炎ウイルス(15)に感染した際のADEを媒介することが報告されているが,SARS-CoV-2感染のADEに関与しているかどうかは不明である.さらに,SARS-CoV-2感染のADEがマクロファージの異常サイトカイン分泌を引き起こすのか,あるいはSARS-CoV-2 variantsで感染のADEが誘導されるのかについては不明である.

そこでこれらの不明点に取り組み,我々は,COVID-19患者の回復期血漿を用いて,SARS-CoV-2感染のADEのメカニズムを調べたところ,感染のADEは主に2種類のFcγRが関与していることがわかった: FcγRIIAFcγRIIIAである

 

RESULTS AND DISCUSSION

SARS-CoV-2 infection induces antibodies that elicit ADE of infection:

我々はまず,FcγR自体がSARS-CoV-2の侵入を媒介するかどうかを調べた.我々は,ヒトFcγRFcγRIAFcγRIIAFcγRIIIA)またはヒトアンジオテンシン変換酵素2hACE2)(SARS-CoV-2の侵入受容体)を安定的に発現させたBHK細胞を作製した.野生型BHK細胞はヒトACE2の発現を欠き,SARS-CoV-2には感受性がないため(16),これらのトランスフェクトされたタンパク質がSARS-CoV-2感染のADEを媒介するかどうかを調べるために,これらの細胞を使用することができた.BHK細胞に,VSV-G遺伝子を欠き,SARS-CoV-2スパイク疑似ウイルス誘導したホタルルシフェラーゼを発現する水胞性口内炎ウイルス(VSV)を感染させた(VSV-SARS2-S).細胞は溶解され,感染後24時間(hpi: hours post infection)でルシフェラーゼ活性が評価された.予想通り、BHK-hACE2細胞はVSV-SARS2-Sに感受性を示したが,BHK-FcγRIABHK-FcγRIIABHK-FcγRIIIA細胞はhACE2を欠くために感受性を示さなかった(see Fig. S1A in the supplemental material(16).次に我々は,COVID-19患者の血漿がSARS-CoV-2感染のADEを媒介するかどうかを検証した.我々は,110の血漿サンプル(listed in Fig. S2A and B)の中から無作為に選んだ15の回復期血漿サンプルと,非感染者の血漿サンプル1つを用いた.BHK-FcγRIABHK-FcγRIIABHK-FcγRIIIA細胞に,連続的に希釈した血漿サンプルでインキュベートしたVSV-SARS2-Sを感染させた.24時間後にルシフェラーゼシグナルを評価した.我々は,どのサンプルでもルシフェラーゼシグナルを検出しなかったことから,FcγRsそれ自体を発現しているBHK細胞はSARS-CoV-2感染のADEを媒介していないことが示唆された(Fig. S1B to D

次に我々は,hACE2の存在下で感染のADEが惹起されるかどうかを検証した.我々は,BHK-FcγRIIA細胞をhACE2発現ベクターでトランスフェクトし,連続的に希釈した血漿でインキュベートしたVSV-SARS2-Sで感染させ,ルシフェラーゼシグナルを評価した.我々は,COVID-19患者の110の血漿サンプルをスクリーニングした.これらのサンプルを無作為に6つのグループに分けた(see Fig. S2A for complete results of the screen).Fig. 1で我々は,1:1,600の希釈で最も高いルシフェラーゼシグナルを示した5つの回復期血漿サンプル(compared to the control in Fig. S2A)と,代表的なデータとして2つの対照血漿サンプルの結果を示した.その結果,COVID-19患者の血漿(Fig. 1A, red lines)では,1:25希釈条件でルシフェラーゼレベルが対照血漿(黒線)に比べて有意に低く,VSV-SARS2-Sの中和が確認された一方,COVID-19患者の血漿の1:1,600希釈条件では,ルシフェラーゼレベルが有意に高く,ACE2の存在下でFcγRIIAを介して回復期血漿によりVSV-SARS2-S感染が増強されたことが示された(Fig. 1A.我々は次に,BHK-FcγRIIA細胞で感染のADEを誘発したのと同じ5つの血漿サンプルを用いて,hACE2をトランスフェクトしたBHK-FcγRIA細胞およびBHK-FcγRIIIA細胞で感染のADEを評価したところ,ACE2の存在下でもFcγRIAおよびFcγRIIIAを介してADEは誘発されないことがわかった(Fig. 1B and C

Fig. 1: ADE of SARS-CoV-2 infection is mainly mediated by FcγRIIA and FcγRIIIA. (A to E) Serially diluted convalescent-phase plasma from five individuals and two control plasma samples incubated with VSV-SARS2-S were used to infect the indicated cells that had been transfected with an hACE2 expression vector; the luciferase activity in the cell lysates was determined at 24 hpi. The experiment was performed with duplicate samples; means and standard deviations (SD) are shown. (F) Serially diluted convalescent-phase plasma from two individuals and two control plasma samples incubated with VSV-SARS2-S were used to infect the indicated cells, and the luciferase activity in the cell lysates was determined at 24 hpi. The experiments were performed in duplicate; means and SD are shown. Statistical analysis was performed using an unpaired t test. ***, P<0.001; **, P<0.01; *, P<0.05.

 

 

以前の研究では,FcRγサブユニット(Fc fragment of IgE receptor Ig [FCER1G])との関係が,細胞表面におけるFcγRIAおよびFcγRIIIAの活性化と機能に必要であることが報告されている(8).我々はそこで,FCER1Gを安定的に発現するBHK-FcγRIAおよびBHK-FcγRIIIA細胞を設計した.次に我々は,hACE2発現ベクターをトランスフェクトしたBHK-FcγRIA/FCER1G細胞およびBHK-FcγRIIIA/FCER1G細胞を用いて、感染のADEを評価した.我々はBHK-FcγRIA/FCER1G細胞では感染のADEは検出しなかったが(Fig. 1D),BHK-FcγRIIIA/FCER1G細胞では1:4001:1,600希釈の患者血漿でルシフェラーゼシグナルの有意な増加が観察されたことから,VSV-SARS2-Sによる感染はFcγRIIAだけでなくFcγRIIIAを介して回復期血漿によって増強されることがわかった(Fig. 1E.さらに我々は,hACE2を単独で発現させたBHK細胞では,感染のADEは検出しなかった(Fig. 1F).以上のことから,我々のデータは,SARS-CoV-2感染によって,ヒトにおける感染のADEを誘発する抗体が産生されることを示しているSARS-CoV-2感染のADEは,hACE2の存在下FcγRIIAおよびFcγRIIIAを介して観察された

次に我々は,感染のADEの評価を,hACEの存在下でBHK-FcγRIIIA/FCER1G細胞を用いた90の血漿サンプルに拡大した.1:1,600希釈血漿で最も高いルシフェラーゼシグナルが観察されたので(Fig. S2A; Fig. 1A and E),我々はこの実験条件でADE誘導血漿サンプルをスクリーニングした.我々は,対照血漿サンプルと比較して,BHK-FcγRIIA細胞およびBHK-FcγRIIIA/FCER1G細胞において,それぞれ1917.3%)および1516.7%)の血漿サンプルがルシフェラーゼシグナルを有意に増加したことがわかった(Fig. S2B and C検査した血漿のうち,6つ(6.7%)の血漿サンプルがFcγRIIAおよびFcγRIIIA/FCER1Gを介して感染のADEを誘導した

Antibodies that induce ADE of infection are present for at least 6months after infection:

我々は,COVID-19患者から診断後136ヶ月時点の回復期血漿を得た.そのため,COVID-19患者における感染のADEを誘発する抗体の持続期間を調べることができた.我々は,FcγRIIAを介した感染のADEに陽性であった8つの血漿サンプル(40014013401440314040404140484055)を選択した(Fig. S2A and B).hACE2発現プラスミドをトランスフェクトしたBHK-FcγRIIA細胞に,連続した希釈血漿をインキュベートしたVSV-SARS2-Sを感染させ,24時間時点でルシフェラーゼレベルを評価した.診断後3ヶ月また6ヶ月時点で採取した血漿では,診断後1ヶ月時点で採取した血漿で同定されたレベルまでルシフェラーゼシグナルが増加し(Fig. 2),ADE誘発抗体(ADE-inducing antibodies)は,SARS-CoV-2感染後少なくとも6ヶ月間は存在する可能性が示唆された

Fig. 2: Antibodies that induce ADE of infection exist for at least 6months after infection. Serially diluted convalescent-phase plasma samples (obtained at 1, 3, and 6months after diagnosis) from the indicated individuals and seven control plasma samples that had been incubated with VSV-SARS2-S were used to infect BHK-FcγRIIA cells that had been transfected with the hACE2 expression vector; luciferase activity in the cell lysates was determined at 24 hpi. The experiments were performed in duplicate; means and SD are shown.

 

 

 

 

SARS-CoV-2 infection is enhanced by convalescent-phase plasma in primary macrophages:

マクロファージは内因性にFcγRを発現している(7-9).そこで,ヒト初代マクロファージにおいて感染のADEが誘発されるかどうかを調べるために,我々は1:1,600希釈の回復期血漿でインキュベートしたauthentic SARS-CoV-2NCGM02)を単球由来マクロファージに感染させた.我々はこの実験では、FcγRIIAおよびFcγRIIIA/FCER1Gを介してADEを誘発した3つの回復期血漿サンプル(403140414048)を代表的な血漿として選択した.感染後24時間および48時間時点の細胞からRNAが分離され,ウイルスN遺伝子を定量化するために逆転写-定量PCRが行われた.我々は,感染後24時間および48時間時点において回復期血漿でインキュベートしたマクロファージでは,N遺伝子の発現が有意に増加していることがわかった(Fig. 3A).我々のコホートの患者は,20204月にCOVID-19と診断されており,初期SARS-CoV-2に感染していた.そこで次に我々は,これらの回復期血漿が,最近のSARS-CoV-2 variantsに対して感染のADEを誘発するかどうかを調べた.我々は,3種類のvariantsVOC202012/01あるいはB.1.1.7[QHN001]; VOC202101/02あるいはP.1[TY7-501]; VOC202012/02あるいはB.1.351[TY8-612])を用いて,初期株NCGM02で行った実験を繰り返した.我々は,回復期血漿でインキュベートしたvariantsに感染したマクロファージが,対照血漿でインキュベートしたマクロファージに比べて,高いレベルのN遺伝子を示したことがわかった(Fig. 3Bこれらの結果は,variantsでは感染のADEによって誘発されるN遺伝子の発現レベルの増加は低い傾向であったが,初期SARS-CoV-2株に感染した患者から採取した回復期血漿は,SARS-CoV-2 variantsに対する感染のADEも誘発することを示している

Fig. 3: SARS-CoV-2 infection is enhanced by convalescent-phase plasma in primary macrophages. Three representative ADE-inducing plasma samples (4031, 4041, and 4048) and control plasma were used for these experiments. Monocyte-derived macrophages were infected at an MOI of 1 with (A) NCGM02 or (B) QHN001, TY7-501, or TY8-612 that had been incubated with the indicated plasma diluted to 1:1,600. Total RNA was isolated from cells at 24 and 48 hpi. The N gene was quantified by RT-qPCR. Results are presented relative to the control plasma-treated cell levels (2−ΔΔCT). Statistical analysis was performed by using a one-way analysis of variance (ANOVA) followed by Dunnetts test. ***, P<0.001; *, P<0.05. The experiments were performed in triplicate; means and SD are shown.

 

 

Contribution of ADE of SARS-CoV-2 infection to cytokine expression in macrophages:

COVID-19は,重症例は,炎症性亢進状態を引き起こし,マクロファージを含む免疫細胞においてインターロイキン6IL-6),IL-8IL-10,腫瘍壊死因子α(TNF-α),CCL2などのサイトカインが異常に産生されるとも言われている(17-20)Zhengらは,SARS-CoV-2感染後,単球由来マクロファージにおいて,炎症促進性サイトカインの遺伝子発現がアップレギュレートすることを示した(21).我々は,回復期血漿がSARS-CoV-2感染を増強することがわかったので,SARS-CoV-2感染のADEがマクロファージにおける炎症性サイトカインの発現に寄与しているかどうかを評価した.我々は,単球由来マクロファージに,1:1,600希釈の回復期血漿(403140414048)でインキュベートしたNCGM02 SARS-CoV-2を感染させた.このマクロファージにNCGM02を感染多重度(MOI: multiplicity of infection1.0で感染させ,感染後24時間時点で上清を回収し,サイトカイン/ケモカインプロファイルを解析した.我々は,ごく少数のサイトカインを除いて,ほとんどの炎症性サイトカイン/ケモカインの発現レベルは,対照と比較してADE誘発血漿(ADE-inducing plasma)によって変化しないことがわかった(Fig. 4これらの結果は,ADE誘発抗体がマクロファージにおけるサイトカイン異常産生に寄与していない可能性を示している

 

 

Fig. 4: ADE of SARS-CoV-2 infection and cytokine expression in macrophages. Three representative ADE-inducing plasma samples (4031, 4041, and 4048) and control plasma were used for these experiments. Monocyte-derived macrophages were infected at an MOI of 1 with NCGM02 that had been incubated with the indicated plasma diluted to 1:1,600. Supernatant was collected at 24 hpi and analyzed for cytokine expression. Statistical analysis was performed by using a one-way ANOVA followed by Dunnetts test. **, P<0.01; *, P<0.05. Data are means and SD.

 

 

本研究で我々は,SARS-CoV-2に対する回復期血漿中のADE誘発抗体を評価した.我々は,単球/マクロファージに発現している3種類の主要な活性化型FcγRsFcγRIAFcγRIIAFcγRIIIA)を評価した(7-9); FcγRIIIAはナチュラルキラー細胞にも発現している.我々は,FcγRsを介した感染の増強を評価するために,BHK細胞をモデルとして使用した.これらの細胞では感染のADEは誘発されなかったが(Fig. S1B-D),BHK細胞におけるSARS-CoV-2感染のADEには,FcγRIIAおよびFcγRIIIAだけでなく,hACE2も必要であることがわかったのは興味深い(Fig. 1A and E; この知見は,FcγRIIAおよびFcγRIIIAが感染のADEにおいてコアセプター(coreceptors)として機能していることを示唆している.なお,SARS-CoV-2感染時のFcγRを介したADEは,強力なADEを誘発することが知られているデングウイルス感染のADEと比較して,わずか(modest)であった(22)SARS-CoV-2感染のADEは,初代マクロファージでも確認され(Fig. 3A),過去にも報告されているように(12)hACE2FcγRsと同様に単球由来マクロファージに発現していることを示している.

いくつかのSARS-CoV-2 variantsが出現したことから,これらのvariantsの抗原性が初期株の抗原性と異なることが報告されているため(23, 24),我々はSARS-CoV-2への再感染のリスクを評価した.今回の研究では,variantsについて感染のADEが確認された(Fig. 3B).今回のコホートサンプルでは,>1400希釈血漿でのみ感染のADE が認められ,それよりも低い希釈率で強い中和活性が認められた(Fig. 2).これらの結果は,中和抗体が十分に存在する血漿では中和が起こる可能性があるが,ADE誘発抗体は中和抗体よりも低濃度で機能する可能性があることを示している.最近の研究では,SARS-CoV-2 Sタンパク質に対する中和抗体は最大8ヶ月存在することが示されていることから(25, 26)ADE誘発抗体は数ヶ月間は感染のADEを誘発しない可能性がある.COVID-19ワクチン接種者の抗体集団と期間に関する知見はまだ限られている.最近の研究では,FcγRを介さないSARS-CoV-2感染のADEの新しいメカニズムが明らかになった(27, 28).これらの研究は,SARS-CoV-2の初期株に基づいて開発されたワクチンに反応して産生された抗体が,B.1.617.2(デルタ)を含む最近のvariantsにおける感染のADEを誘発する可能性を示唆している(27, 28).ワクチン接種者にADE誘発抗体や中和抗体がどのくらいの期間存在するかを評価するには,さらなる研究が必要である.

最近の研究では,ADE誘発抗体とCOVID-19の重症度との間に相関関係があることが示唆されている(11).また,COVID-19患者では,マクロファージから炎症性サイトカインが異常に放出される高サイトカイン血症が発症することが報告されている(17-20).我々は,感染のADEが高サイトカイン血症に寄与しているかどうかを調べるために,ADE誘発血漿でインキュベートしたマクロファージからの炎症性サイトカインの放出を調べた.しかし我々は,ADE誘発血漿でインキュベートしたマクロファージでは,炎症性サイトカインレベルは増加しないことがわかった.これらの結果から,ADE誘発抗体は,炎症の誘導としては機能せず,抗ウイルス,すなわちマクロファージ内にウイルスを補足する,として機能する可能性が示唆された; なお,我々の実験では、マクロファージでSARS-CoV-2の複製は観察されず(データは示されていない),これは過去の研究と一致している(21, 29)

結論として,我々はSARS-CoV-2感染は感染のADEを誘発する抗体を誘導し,ヒトではSARS-CoV-2感染後少なくとも6ヶ月間はADE誘発抗体が存在することを明らかにしたこの感染のADEは主にFcγRIIAおよびFcγRIIIAによって媒介されるが,マクロファージによる有害な寄与は観察されなかったSARS-CoV-2感染におけるADE誘発抗体の効果を評価するには,長期的な研究が必要である.

 

References

1) World Health Organization. WHO coronavirus (COVID-19) dashboard. World Health Organization, Geneva, Switzerland. https://covid19.who.int/. Accessed 23 May 2021.

2) Johns Hopkins University. COVID-19 dashboard. Johns Hopkins University, Baltimore, MD. https://coronavirus.jhu.edu/map.html. Accessed 23 May 2021.

3) Krammer F. 2020. SARS-CoV-2 vaccines in development. Nature 586:516527.

doi:10.1038/s41586-020-2798-3.

4) Creech CB, Walker SC, Samuels RJ. 2021. SARS-CoV-2 Vaccines. JAMA 325:13181320. doi:10.1001/jama.2021.3199.

5) Lee WS, Wheatley AK, Kent SJ, DeKosky BJ. 2020. Antibody-dependent enhancement and SARS-CoV-2 vaccines and therapies. Nat Microbiol 5:11851191.

doi:10.1038/s41564-020-00789-5.

6) Arvin AM, Fink K, Schmid MA, Cathcart A, Spreafico R, Havenar-Daughton C, Lanzavecchia A, Corti D, Virgin HW. 2020. A perspective on potential antibody-dependent enhancement of SARS-CoV-2. Nature 584:353363.

doi:10.1038/s41586-020-2538-8.

7) Bournazos S, Gupta A, Ravetch JV. 2020. The role of IgG Fc receptors in antibody-dependent enhancement. Nat Rev Immunol 20:633643.

doi:10.1038/s41577-020-00410-0.

8) Bruhns P. 2012. Properties of mouse and human IgG receptors and their contribution to disease models. Blood 119:56405649. doi:10.1182/blood-2012-01-380121.

9) Klaassen RJ, Ouwehand WH, Huizinga TW, Engelfriet CP, von Dem Borne AE. 1990. The Fc-receptor III of cultured human monocytes. Structural similarity with FcRIII of natural killer cells and role in the extracellular lysis of sensitized erythrocytes. J Immunol 144:599606.

10) Cloutier M, Nandi M, Ihsan AU, Chamard HA, Ilangumaran S, Ramanathan S. 2020. ADE and hyperinflammation in SARS-CoV2 infectioncomparison with dengue hemorrhagic fever and feline infectious peritonitis. Cytokine 136:155256.

doi:10.1016/j.cyto.2020.155256.

11) Wu F, Yan R, Liu M, Liu Z, Wang Y, Luan D, Wu K, Song Z, Sun T, Ma Y, Zhang Y, Wang Q, Li X, Ji P, Li Y, Li C, Wu Y, Ying T, Wen Y, Jiang S, Zhu T, Lu L, Zhang Y, Zhou Q, Huang J. 2020. Antibody-dependent enhancement (ADE) of SARS-CoV-2 infection in recovered COVID-19 patients: studies based on cellular and structural biology analysis. medRxiv doi:10.1101/2020.10.08.20209114:2020.10.08.20209114.

12) Garcia-Nicolas O, V'Kovski P, Zettl F, Zimmer G, Thiel V, Summerfield A. 2021. No evidence for human monocyte-derived macrophage infection and antibody-mediated enhancement of SARS-CoV-2 infection. Front Cell Infect Microbiol 11:644574. doi:10.3389/fcimb.2021.644574.

13) Shi P, Su Y, Li Y, Zhang L, Lu D, Li R, Zhang L, Huang J. 2019. The alternatively spliced porcine FcgammaRI regulated PRRSV-ADE infection and proinflammatory cytokine production. Dev Comp Immunol 90:186198. doi:10.1016/j.dci.2018.09.019.

14) Wang TT, Sewatanon J, Memoli MJ, Wrammert J, Bournazos S, Bhaumik SK, Pinsky BA, Chokephaibulkit K, Onlamoon N, Pattanapanyasat K, Taubenberger JK, Ahmed R, Ravetch JV. 2017. IgG antibodies to dengue enhanced for FcgammaRIIIA binding determine disease severity. Science 355:395398. doi:10.1126/science.aai8128.

15) Garcia-Nicolas O, Ricklin ME, Liniger M, Vielle NJ, Python S, Souque P, Charneau P, Summerfield A. 2017. A Japanese encephalitis virus vaccine inducing antibodies strongly enhancing in vitro infection is protective in pigs. Viruses 9:124. doi:10.3390/v9050124.

16) Hoffmann M, Kleine-Weber H, Schroeder S, Kruger N, Herrler T, Erichsen S, Schiergens TS, Herrler G, Wu NH, Nitsche A, Muller MA, Drosten C, Pohlmann S. 2020. SARS-CoV-2 cell entry depends on ACE2 and TMPRSS2 and is blocked by a clinically proven protease inhibitor. Cell 181:271280.E8. doi:10.1016/j.cell.2020.02.052.

17) Chen G, Wu D, Guo W, Cao Y, Huang D, Wang H, Wang T, Zhang X, Chen H, Yu H, Zhang X, Zhang M, Wu S, Song J, Chen T, Han M, Li S, Luo X, Zhao J, Ning Q. 2020. Clinical and immunological features of severe and moderate coronavirus disease 2019. J Clin Invest 130:26202629. doi:10.1172/JCI137244.

18) Hadjadj J, Yatim N, Barnabei L, Corneau A, Boussier J, Smith N, Pere H, Charbit B, Bondet V, Chenevier-Gobeaux C, Breillat P, Carlier N, Gauzit R, Morbieu C, Pene F, Marin N, Roche N, Szwebel TA, Merkling SH, Treluyer JM, Veyer D, Mouthon L, Blanc C, Tharaux PL, Rozenberg F, Fischer A, Duffy D, Rieux-Laucat F, Kerneis S, Terrier B. 2020. Impaired type I interferon activity and inflammatory responses in severe COVID-19 patients. Science 369:718724. doi:10.1126/science.abc6027.

19) Huang C, Wang Y, Li X, Ren L, Zhao J, Hu Y, Zhang L, Fan G, Xu J, Gu X, Cheng Z, Yu T, Xia J, Wei Y, Wu W, Xie X, Yin W, Li H, Liu M, Xiao Y, Gao H, Guo L, Xie J, Wang G, Jiang R, Gao Z, Jin Q, Wang J, Cao B. 2020. Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China. Lancet 395:497506.

doi:10.1016/S0140-6736(20)30183-5.

20) Wang J, Jiang M, Chen X, Montaner LJ. 2020. Cytokine storm and leukocyte changes in mild versus severe SARS-CoV-2 infection: review of 3939 COVID-19 patients in China and emerging pathogenesis and therapy concepts. J Leukoc Biol 108:1741.

doi:10.1002/JLB.3COVR0520-272R.

21) Zheng J, Wang Y, Li K, Meyerholz DK, Allamargot C, Perlman S. 2021. Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2-induced immune activation and death of monocyte-derived human macrophages and dendritic cells. J Infect Dis 223:785795.

doi:10.1093/infdis/jiaa753.

22) Song KY, Zhao H, Jiang ZY, Li XF, Deng YQ, Jiang T, Zhu SY, Shi PY, Zhang B, Zhang FC, Qin ED, Qin CF. 2014. A novel reporter system for neutralizing and enhancing antibody assay against dengue virus. BMC Microbiol 14:44.

doi:10.1186/1471-2180-14-44.

23) Garcia-Beltran WF, Lam EC, St Denis K, Nitido AD, Garcia ZH, Hauser BM, Feldman J, Pavlovic MN, Gregory DJ, Poznansky MC, Sigal A, Schmidt AG, Iafrate AJ, Naranbhai V, Balazs AB. 2021. Multiple SARS-CoV-2 variants escape neutralization by vaccine-induced humoral immunity. Cell 184:2523. doi:10.1016/j.cell.2021.04.006.

24) Hoffmann M, Arora P, Groß R, Seidel A, Hörnich BF, Hahn AS, Krüger N, Graichen L, Hofmann-Winkler H, Kempf A, Winkler MS, Schulz S, Jäck H-M, Jahrsdörfer B, Schrezenmeier H, Müller M, Kleger A, Münch J, Pöhlmann S. 2021. SARS-CoV-2 variants B.1.351 and P.1 escape from neutralizing antibodies. Cell 184:23842393.E12.

doi:10.1016/j.cell.2021.03.036.

25) Dan JM, Mateus J, Kato Y, Hastie KM, Yu ED, Faliti CE, Grifoni A, Ramirez SI, Haupt S, Frazier A, Nakao C, Rayaprolu V, Rawlings SA, Peters B, Krammer F, Simon V, Saphire EO, Smith DM, Weiskopf D, Sette A, Crotty S. 2021. Immunological memory to SARS-CoV-2 assessed for up to 8 months after infection. Science 371:eabf4063.

doi:10.1126/science.abf4063.

26) Yamayoshi S, Yasuhara A, Ito M, Akasaka O, Nakamura M, Nakachi I, Koga M, Mitamura K, Yagi K, Maeda K, Kato H, Nojima M, Pattinson D, Ogura T, Baba R, Fujita K, Nagai H, Yamamoto S, Saito M, Adachi E, Ochi J, Hattori SI, Suzuki T, Miyazato Y, Chiba S, Okuda M, Murakami J, Hamabata T, Iwatsuki-Horimoto K, Nakajima H, Mitsuya H, Omagari N, Sugaya N, Yotsuyanagi H, Kawaoka Y. 2021. Antibody titers against SARS-CoV-2 decline, but do not disappear for several months. EClinicalMedicine 32:100734. doi:10.1016/j.eclinm.2021.100734.

27) Liu Y, Soh WT, Kishikawa JI, Hirose M, Nakayama EE, Li S, Sasai M, Suzuki T, Tada A, Arakawa A, Matsuoka S, Akamatsu K, Matsuda M, Ono C, Torii S, Kishida K, Jin H, Nakai W, Arase N, Nakagawa A, Matsumoto M, Nakazaki Y, Shindo Y, Kohyama M, Tomii K, Ohmura K, Ohshima S, Okamoto T, Yamamoto M, Nakagami H, Matsuura Y, Nakagawa A, Kato T, Okada M, Standley DM, Shioda T, Arase H. 2021. An infectivity-enhancing site on the SARS-CoV-2 spike protein targeted by antibodies. Cell 184:34523466.E18.

doi:10.1016/j.cell.2021.05.032.

28) Yahi N, Chahinian H, Fantini J. 2021. Infection-enhancing anti-SARS-CoV-2 antibodies recognize both the original Wuhan/D614G strain and Delta variants. A potential risk for mass vaccination? J Infect doi:10.1016/j.jinf.2021.08.010. Epub ahead of print.

29) Hui KPY, Cheung MC, Perera R, Ng KC, Bui CHT, Ho JCW, Ng MMT, Kuok DIT, Shih KC, Tsao SW, Poon LLM, Peiris M, Nicholls JM, Chan MCW. 2020. Tropism, replication competence, and innate immune responses of the coronavirus SARS-CoV-2 in human respiratory tract and conjunctiva: an analysis in ex-vivo and in-vitro cultures. Lancet Respir Med 8:687695. doi:10.1016/S2213-2600(20)30193-4.

30) Shirato K, Nao N, Katano H, Takayama I, Saito S, Kato F, Katoh H, Sakata M, Nakatsu Y, Mori Y, Kageyama T, Matsuyama S, Takeda M. 2020. Development of genetic diagnostic methods for detection for novel coronavirus 2019(nCoV-2019) in Japan. Jpn J Infect Dis 73:304307. doi:10.7883/yoken.JJID.2020.061.

 

 

 

 

 

 

 

ADEとコロナウイルスワクチン】

Lowe Derek. IN THE PIPELINE. Antibody-Dependent Enhancement and the Coronavirus Vaccines. Feb 12, 2021. Science Advances.

https://www.science.org/content/blog-post/antibody-dependent-enhancement-and-coronavirus-vaccines.

Whats ADE, Again?:

まず,簡単におさらいしておこう.ADEは,いくつかのウイルス感染症で見られる問題だが,全く見られないウイルスもあることは言うまでもない.ADEは,過去の感染やワクチン接種によって,ある特定の条件に適合する抗体が生成された場合に起こる.まず,既存の抗体は、新しいウイルス感染に対して中和しないものでなければならない: つまり,2番目のウイルスに結合しても,その活動を遮断しないものでなければならない.しかし,重要なのは,ウイルス感染に対する免疫応答はすべて,中和抗体と非中和抗体が混在しているということである.これが免疫システムの特徴の1つである: 免疫系は,血液中を循環している何十億もの抗体の中から,多種多様な抗体の産生を促進する.その中には,病原体のある部分に結合するものもあれば,別の部分に結合するものもある.そして、これらの抗体は異なる構造で結合し,侵入してきたウイルスの表面の異なる部分に異なる方向から結合する.

ウイルスの活動を止めるためには,必然的に,あるものが他のものよりも効果的になる: 抗体は,ウイルスのタンパク質の重要な部分(それがなければヒト細胞に感染できない,現在のコロナウイルスの場合は,表面を飾るスパイクタンパク質の端にある受容体結合ドメイン(RBD))に結合して覆うことができる.抗体はまた,ウイルス粒子を凝集させ,本来の機能を果たせないような塊にしてしまう.また,抗体は様々な防御細胞にシグナルを送り,抗体が結合したウイルス粒子を直接攻撃して破壊することもできる.

しかし,これらのどれもが期待通りに働かない場合,非中和抗体ができてしまうが,免疫システムは実際には中和抗体を選択して増幅するように最適化されている.したがって,中和作用のない抗体が同時に存在していても,より有用な強力な中和作用のある抗体が仕事をしているので通常は問題ない.しかし,非中和抗体だけを持っている場合はどうだろうか?

例えば,デング熱がそうである.デング熱には4つの種類があるが,治療やワクチンによる予防を行う上で最も難しい点である.そのうちの1つに感染しても,それを乗り越えるために作られた抗体は,効果的に中和するための他の抗体とは十分に一致せず,後にそのうちの1つに感染すると,実際にはデング熱の症状が悪化する.それがADEの「増強enhance」の部分である.12月の記事で述べたように,これには少なくとも2つの異なるメカニズムが存在している.そのうちの1つ(最もわかりやすいもの)は,ある種の非中和抗体がデングウイルス粒子に付着すると,ヒト単球細胞への侵入を実際に早めるというものである.単球の膜タンパク質は.入ってきた抗体の表面を,無能なバーのドアマンが偽のIDを持った人を通すように扱う."良さそうだから入っておいで "というわけだ.これはまさに,あなたが望んでいないことだ.

12月の記事には,ワクチン接種でもこのような現象が見られたことへのリンクがある.RSVワクチン候補と麻疹ワクチン候補では,確かにこの問題が見られた(生成された抗体によって,次の曝露がさらに悪化した).決して一般的ではないが,確実に起こり得る.ワクチン開発者はこのことを認識していると考えてよいだろう.そして我々は,次のように考える:

ADE and Coronaviruses:

さて,2003年にSARSがヒトの間で出現したとき,再びSARSが発生したときのためにワクチンを作ろうとする研究が多く行われた.そして(より以前の記事にリンクがある),これらの候補の中には,ADEの兆候が見られたものもあった.ワクチンを接種した動物が同じウイルスに再曝露されると,一部の動物は通常よりもさらに調子が悪くなった(余談だが,これは,結合抗体が細胞侵入に直接影響を与えるのではなく,T細胞応答が変化するという,また別のメカニズムによるもののようだ).免疫学がそうであるように,これはすべての動物に起こることではない.すべての哺乳類の免疫システムは指紋のように異なっており,このようなワクチンを使用した場合,(現在の技術では予測不可能な単なる不運によって)より脆弱な人がいることは明らかである.

あなたができることは,統計を見ることだ: 動物モデル実験でADEの兆候が少しでも見られれば,それは悪い知らせである.なぜなら,動物モデル実験のサンプルサイズは,ワクチン接種を受ける集団よりもはるかに小さいからである.つまり,そのようなヒト集団では,まったく受け入れられないリスクがあることを意味する.そのため,動物実験(げっ歯類と霊長類の両方)は,特にそのような影響を調べるように設計されており,もしADEが見られた場合は,振り出しに戻ることになる.また,臨床試験のデータ,そして(実際に)最終的なリアルワールドでの展開にこのような兆候がないかどうかを見守ることになるだろう.

SARSの経験は,結果的にそうなったように,我々に非常に有益な教訓をたくさん与えてくれた.SARS-Cov-2は,2003年に発生したSARS coronavirusとかなり密接に関連している.世界的なパンデミックを起こすのであれば,すでに研究開発投資を行っているものと非常に似ているものを使う方がはるかに良い.今回のケースでは,コロナウイルスワクチンが実際にADEを引き起こす可能性があること,そしてそれはワクチンのベースとなるタンパク質に依存するようだという2つの大きな収穫があった.具体的には,コロナウイルスのN(核タンパク質)抗原を標的としたワクチンにはADEの問題があり一方S(スパイク)タンパク質を標的としたワクチンには問題がなかったということである.更新: これは正確ではない.核タンパク質(nucleoprotein)を標的としたワクチンでは,免疫後に問題が発生したが,スパイクを標的としたワクチン候補のいくつかでもADEが見られた1)2)3).この経験は,昨年のワクチン開発で徹底的に生かされた.私の知る限り,誰もSARS-Cov-2Nタンパク質を標的にしようとはしなかったが,それはまさにこの理由によるSARS-Cov-2感染者の抗体を見ると,Nタンパク質を標的とした抗体やスパイクを標的とした抗体,さまざまなORFタンパク質を標的とした抗体が作られている.しかし,ワクチンの研究では,みんなスパイクにこだわっている.

The Current Vaccine Data: Any Sign of ADE?:

現在,ModernaPfizer/BioNTechのワクチンが世界の多くの地域で展開されており、AstraZeneca/OxfordGamaleyaCanSinoのアデノウイルスベクターワクチンも同様に展開されている.これらに加えて,J&Jのアデノウイルスベクターワクチン,Novavaxのリコンビナントタンパク質サブユニットワクチンが間もなく登場する予定であり,その後も増える可能性がある.さて,ここで重要な質問がある: これらのワクチンのうち,開発中にADEのヒントを示したものはあるだろうか?そして,現在その兆候を示しているものはあるだろうか?

簡単に言うと,「しなかった」.そして,そうではない.抗体依存性増強(ADE)は,これらの候補が開発されていたときに,動物モデルで特に検査された(ワクチンを接種した動物をコロナウイルスに再曝露し,ワクチンがどの程度防御的なのかを調べた).そして,より重篤な疾患が発生したケースは見られなかった: 私は報告されている前臨床試験をさかのぼってみたが,一つも見逃していないと思うし,私が目にしているのは,いずれもADEのケースが一つもないということだ.実際,前述したように,もしそのようなものが現れていたら,すぐに臨床開発や規制面で問題が生じただろう.

ヒト臨床試験ではどうだろうか?ここでもADEの兆候は見られなかった.というのも前臨床試験のように,「さあ,もう1回,ウイルスを爆発(blast)させてみよう」というような意図的なチャレンジ(曝露)を行っていないためだ.しかし同時に,これらの試験参加者は,リアルワールドで感染の兆候を監視されていた.ワクチンを1回でも接種した後のデータの劇的なプロットが,それを物語っている.この試験では,ワクチン接種後に人々がまったく感染せず,さらに重篤な疾患になることもほとんどなかった.それどころか,ワクチンの大きな特徴の一つは,コロナウイルスの重篤な症状がほとんど出なくなったことだ.ワクチン接種後の感染性などについては,我々はまだデータを集めているところだが(順調に進んでいる),疑いの余地がないのは,ワクチンを接種した対象者には,重症のコロナウイルス感染者も入院者も現れないということだ.

これは,ADEが起こっている場合に期待されることとは逆である.抗体依存性増強の悪い点は,その病原体に再び曝露したとき(あるいはワクチン接種後に曝露したとき),より重篤な疾患を引き起こすことである.しかし,我々はそれを目にしていない.全くだ.まさにその逆の結果が出ている.実際のデータを見れば,潜在的なメカニズム(抗体,T細胞効果など)に気づくことができるが,何も出てきていない.

What About the Variants?:

これは本当に良い質問である.初期の臨床試験では,私が「コロナウイルス・クラシック」と呼んでいるものを対象にしていたが,現在ではいくつかの変異株がある.最悪のケースは,これらのうちの1つまたは複数が,例えばデング熱の4つのタイプのように異なるものとして広がり,ワクチン接種によって得られた抗体がそれらに対処するのに不十分であることである.これはいくつかの悪いことを意味する: つまり,ワクチンを接種しても,通常の感染症のリスクが高く,さらに悪いことには,ワクチンを全く接種しなかった場合よりもさらに悪い感染症にかかるリスクがあるということになる.このことが,現在のADE懸念という火に油を注ぐことになっているようだ.

これらのvariantに対するワクチン効果については,いくつかの報道によると,実際にはあなたが思っているほど悪くはないようだ.B.1.1.7 variant(英国で最初に特徴づけられた)は,実際には様々なワクチンによって非常にうまく対処されているようで,効果の低下はごくわずかである(ADEを心配し始めるほどではない).南アフリカで最初に確認されたB.1.351 variantは少し難しい.様々なワクチンで作られた抗体がこの種のワクチンに苦戦していることは間違いないが,その落ち込みの度合いは様々なようだ.一方,AstraZeneca/Oxfordのワクチンは,南アフリカ政府がワクチン接種を全面的に中止したほど効力を失っているようだ.これは,早まった決断だったかもしれない: このワクチンは,南アフリカでさえも,何もしないよりはずっと良いが,それは別の話題である.一方,AZ/Oxfordのワクチンが示したほどではないようだが,J&JNovavaxのワクチンはB.1.351に対する有効性が低下している.また,ModernaPfizer/BioNTechのワクチンはそれ以上に持ちこたえているかもしれないという情報がここ数日で入ってきた: 研究室での実験では効力が低下しているが,リアルワールド集団で多く認められるほどのものではないかもしれない.

そして今のところ,私は,南アフリカではワクチン接種後に重症化したという報告は見つけることができなかった.もし間違っていたら訂正してほしい.しかしこれは,(今のところ)このvariantに対しても抗体依存性増強の証拠はないということである.もちろん,他のvariantsもあるので,それらに目を光らせておく必要があるのは間違いない.しかし,variantsはウイルスの仕事である.これは奇妙で不吉なことではなく,予想されることであり,我々は何に注意すべきかをわかっている.月曜か火曜にはこれらの株について別の記事をアップする予定だが,このようにうまく乗り切れていることに,実は安堵しているということを伝えておく.

The Bottom Line:

簡単に言うと,前臨床の動物実験ではADEの兆候はなかった.ヒトでの臨床試験でも兆候は見られなかった.ワクチンの最初の導入時にも兆候は見られなかった.そして(今のところ),世界各地の変異株でもADEの兆候は見られない.今回のパンデミックで心配すべきことはあるが,現在のところ,抗体依存性増強はその一つではないようだ.それを心配し,避けたいと思う人の気持ちはわかる.しかし,今まさに問題になっていて,そのためにワクチン接種を避けるべきだという報告を目にしたとしても,私にはそうは思えない.その中には善意の注意もあれば,明らかに反ワクチンの脅し文句(anti-vaccine scaremongering)もあるだろう.

 

References

1) Li YD, et al. Coronavirus vaccine development: from SARS and MERS to COVID-19. J Biomed Sci. 2020; 27: 104. Dec 20, 2020.

https://dx.doi.org/10.1186%2Fs12929-020-00695-2.

2) Jaume M, et al. Anti-Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus Spike Antibodies Trigger Infection of Human Immune Cells via a pH- and Cysteine Protease-Independent FcγR Pathway. J Virol. 2011 Oct; 85(20): 10582-10597.

https://dx.doi.org/10.1128%2FJVI.00671-11.

3) Liu SJ, et al. Immunological characterizations of the nucleocapsid protein based SARS vaccine candidates. Vaccine. 2006 Apr 12; 24(16): 3100-3108.

https://dx.doi.org/10.1016%2Fj.vaccine.2006.01.058.