Churg-Strauss症候群
【概念と背景】
CSSは、WGやMPOとともに、ANCA関連全身血管円と呼ばれ、細動脈から細静脈の細小血管を病変の主座とする。主として中年期に重症喘息が数年先行し、末梢血好酸球の著名増多とともに、全身諸臓器の好酸球浸潤と多発性単神経炎などの血管炎症状で発症するのが特徴であり、病理学的には壊死性肉芽腫性血管炎の像を呈する。
○3500人の喘息を追って50例くらいCSSがいる。それほど稀でない印象。
○3500人の喘息を追って50例くらいCSSがいる。それほど稀でない印象。
○重症喘息からある一定の率で発症する。
○CSSは大動脈を除いて(例外もある)全ての動脈を侵す。時には全身血管造影をやる時もある。
○ただしHESは遺伝子異常がわかってきてCSSとは違うことがわかってきた。

① 喘息(ほぼ100%)、鼻アレルギー、副鼻腔炎、②好酸球増多、③2-3年で全身性血管炎(稀に20-30年経って起こることも)(後から喘息が起こることも稀にある)。
○上・下気道好酸球炎症が必発(好酸球性副鼻腔炎、好酸球肺炎)+多発性単神経炎+心筋障害
○従来のCSS診断基準は喘息と鑑別するものではなく、MPAやWGと鑑別し特異度を上げるためのものなので問題がある。喘息でも基準を満たす場合もある。近く新しい診断基準がでる予定。
○重症喘息は、ほぼ100%画像で副鼻腔異常が認められる(感度が高すぎる)。CSSの診断には鼻茸、臭覚異常が大切。
◎喘息+鼻茸+好酸球上昇は、アスピリン喘息(90%以上)、CSS(80-90%)を疑う。
○CSSは20-50代に多い(MPA、WG、PNは高齢者に多い)。恐らく重症喘息の2-5%にいるだろう。200人喘息のうち1人くらいCSSいる印象。
○国別差はない。
○1週間くらいの経過で致死的になる劇症型や2-3年経っても血管炎がはっきりしないくすぶり型などがある。
○初期は、冠動脈のみ病変といった単臓器のみ侵している場合もある。
○女性が男性の2倍の頻度。最近高齢発症も増えている。
【症状】
○上気道すなわち好酸球性副鼻腔炎、喘息はほぼ必発である。
○多発単神経炎もほぼ必発。
○肺CTで70%異常認める。心臓(心エコー、BNP)は70%異常。消化管は30-40%症状がでる(ただ生検で異常所見は60-70%に認められる)。
○腎臓(軽症~ネフローゼ)、肝臓はCTでモザイク所見をとると20%くらい異常でる。
○中枢神経異常は10-20%くらいか?。
○リンパ節、唾液腺腫大は稀ではない。
○CSSの50%くらいに尿中好酸球増多を認める。
○先行する喘息の特徴として、重症、ステロイド依存性、非アトピー型、好酸球性肺炎の併発など。CSS発症前から喘息は重症(GINA 4くらい)で、Eo 20%以上のことが多い。また重症にもかかわらず気道過敏性は軽度である(これはアスピリン喘息にも言える)。
○自験例では、原因不明のCEP25例を7-8年追うと、20%で血管炎(CSS)を発症した。
【診断】
○従来CSSにおいて、P-ANCAが60%、c-ANCAが10%くらい陽性と言われていた。しかし、欧州の報告で38%くらいしか陽性にならないことがわかってきた。
○ANCAの有無で臨床症状が異なることがわかってきた。
陽性群:多発単神経炎、腎障害多い、肺胞出血→MPAに近い血管炎の症状
陰性群:心障害が多い、好酸球性肺炎、好酸球性副鼻腔炎、鼻茸、消化管障害→好酸球による傷害
○活動性マーカー:
CRPや赤沈はステロイドを使用すると低下するので症状とマッチしない。古典的ではあるが好酸球数が再発のマーカーとして信頼できる。フローサイトメトリーによる好酸球、リンパ球の表面活性マーカーも指標にすることもある。ANCAは再燃の感度がよいマーカーにはならない。◎喀痰中、○末梢血、○尿中の好酸球数がCSS増悪の感度が高いマーカー。
○血管炎が悪化する前に喘息が悪化してくることが多い。よって通常の喘息以上にCSSの喘息悪化には注意が必要。
○CSS活動期に尿中ロイコトリエンE4が高値を示す。
○CSS活動期にsIL-2Rが増加する(感度が良すぎて、改善しても下がらないことがある)。
【予後】
○診断5年以内の死亡率8-38%。重要なのは心疾患の合併。
○予後不良因子:①重症消化管障害、②腎機能障害、③高度タンパク尿、④心筋障害、⑤中枢神経障害、が知られている。高齢発症も予後不良因子である印象。
○予後と関係ない因子:肺病変、多発単神経炎。
○予後不良因子のないCSSは、5生率97%、10生率69%→従来予後がよいと言われてきたが実はよくないのではないか。
○MPAよりはよいが中年期発症CSSの10-20年長期予後は良好とはいえない。
ステロイド、免疫抑制剤による2次的な感染症が関与している。
○死亡例は心筋、重度の消化管病変が2-3倍多い。
○重度消化管病変があるCSSは,はじめの1-2年で消化管穿孔などで死亡する。
○重度心筋障害はCSSの発症晩期の予後不良因子。
○CSSはしびれや麻痺などで動けない人少なくないので、心筋障害の症状が出にくく見逃すことある。Holterなど積極的にやる。
【治療】
○5つの予後不良因子 1つ以上→シクロフォスファミド(パルス)
なし→ステロイド
ということになっているが・・・
しかし35%はステロイド単剤は治療失敗している。CSSはステロイドよりもシクロフォスファミドが効くと思っている。
○喘息、皮膚病変、肺病変→ステロイド◎、
消化管病変→ステロイド○、シクロフォスファミド◎、
末梢神経病変、心病変→ステロイド△、シクロフォスファミド○、+IVIG◎、
腎病変、中枢神経病変は??
○PSL 20-80mg/day時にステロイドパルス。
○シクロフォスファミド(エンドキサン)1-2mg/kg/day時にエンドキサンパルス。
○血漿交換は現時点では否定的。
○症例
56歳男性
主訴:四肢末梢のしびれ、麻痺、発熱
経過:立てなくなり入院。ステロイド、シクロフォスファミドで末梢血好酸球低下したが、しびれや筋力低下は改善せず。IVIG(ベニロン)20g/dayを5日間投与した。治療翌日より自立可能になった。さらにもう1コース行い(計2コース)自立歩行で退院した。
○末梢神経障害にIVIGは効果がある。
○IVIGはCSSのステロイド抵抗性心機能(EF)低下を著名に改善させる。
○IVIGはステロイド抵抗性の活性化好酸球を減少させる。
○CSSの心機能障害10例、IVIGにて全例に有効かつ治療効果持続少なくとも1-2年は観察された(自験例)。
○Circulationで非CSSの心不全における左室機能をIVIGはplaceboより改善させたという報告がある。
○IVIGの効く機序はよくわかっていない(血流の改善??)。
○IVIGは長期予後も改善させる印象(ステロイド減らせるなど)。
○食事や歩行など要介助がIVIGにて介助不要になった経験ある。
○1クールより2クールやったほうが改善する。
○IVIGのまとめ:
①治療抵抗性の末梢神経障害(著効30%、有効50-60%、無効10-15%)
②心機能障害にほぼ100%効果あり
③再発予防、ステロイド減量、予後改善
【今後の展望】
○他の生物学的製剤による追加治療の可能性:INF-α薬、TNF-α阻害薬は副作用で使用困難。抗IL-5薬は期待できるかもしれない。
